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第2話

ここは男子校。見渡す限り男。漢。オトコ。野郎しかしないむさ苦しい空間である。そこになんでか知らないが多数のイケメンがいて、それになんでか知らないが野郎だらけのファンクラブが存在し、そしてなんでかわからないが野郎同士のカップルまで生まれ出す始末だ。 昨今LGBTだ同性愛だと色々とあるのは理解している。だがしかし朝ですよ?今から授業あるのにどうして保健室から男のニャンニャンな声が聞こえるんですかね。 キーンコーンカーンコーン、鐘がなった。今からHRだ。 だがしかし俺は一限はサボることになった。なぜならば俺の席にはキラキラが座っていたから。俺にはキラキラに話しかける勇気なんてこれっぽっちもないのだ。話しかけようものならファンクラブの奴らに精神的にやられちゃう。理不尽。 だから俺はこうやって逃げることにしているのだ。戦略的撤退である。 幸いにも頭の出来は悪くないためこれくらいならどうにでもなる。だがしかしとため息と一緒に屋上の冷たいコンクリートに腰を下ろして清々しいほどに晴れた空を見上げてそのままバタッと横になる。 「いてっ」 思いの外勢いよく寝転んでしまったせいで頭を打ってしまった。 「大丈夫か?」 「ああうん大丈、ぶじゃない!!!!」 上から俺を覗き込む気怠げなキラキラ。俺はアスリートもビックリな反射神経で起き上がりズサーッと距離を取った。いや、取ろうとした。 「は、離してくれませんかねぇえええ?え、なんで?なんで掴むの?ねえなんで?俺の腕掴みやすい?そんな訳ないよねあだだだだだ!ちょ!痛い!痛いんだけど!離せ違う離してくださいいい!!」 「相変わらずうるせえな。けどまあ元気で安心したわ」 「めちゃくちゃ元気です。ええそりゃあもう元気。はい、お話し終了ね!離せ!」 「いやだ」 「なんでだよおおおおお」 こうやってキラキラに捕まるのも認めたくはないが俺の日常だ。本当に認めたくない。 心の底から嫌すぎる。嫌だと言うのを全力で全身全霊で表現してもこのキラキラは全く意に返さず嫌がる俺を無視して背後に回ったかと思うと俺を後ろからホールドしてきた。 「…あーのーさー、俺毎日嫌だって言ってんじゃん?マゾなの?」 「そうかもな」 「あ、ついに否定しなくなった。えー、なんで俺なのさー。絶対俺じゃなくていーじゃーん。俺見てよトップオブ普通よ?見てこのフツメン。それをなんでお前は後ろから抱きしめてんの。ねえなんで。違うじゃん。これは違うじゃん。俺がやりたいやつじゃん」 「変わるか?」 「ちっっげえわボーーーケ!俺は!女の子を!後ろから抱きしめたいの!!」 「ここは男子校だ」 「知ってんだわ!んなもん言われなくとも知ってんだわ!!あー、ほんと会話できねえ。授業行けよー、頼むから俺を解放して授業を受けに行ってくれよー」 我慢できない大きなため息を吐いて後ろの壁という名のキラキラにもたれかかる。こうなってしまえば気が済むまでこのままだというのを嫌というほどに理解していた。 どことなく嬉しそうにガチっと抱きしめてくるキラキラに何度目かの溜息を吐いてどうしてこんなことになったのかと過去に思いを馳せてみようかと思う。 そう、あれは忘れもしない、なんて事はない2年前のバレンタインデー…

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