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第4話
「最近、ちゃんと自分で家に来てくれるようになりましたね」
「なりましたね、じゃないだろ。おまえが毎回家に侵入して、俺を無理やり連れていくから、さすがに近所の人の目が気になって、抵抗できなくなったんだ」
「おいしいですか?」
「おいしいよ」
本日の夕飯は煮込みハンバーグ。赤ワインとよくあう。うまい、コンビニのハンバーグ弁当もおいしいが、手作りの煮込みハンバーグは最高だ。
そして、食べ終わると、片づけをし、例にもれなくベッドへ連れていかれる。
「あのさ」
「どうしました?」
俺のシャツの下に手を伸ばしながら、要が答える。
「お休みがないんですが、毎日するんですかね?」
「蒼の体が反応しなくなったらやめますけど、今のところ、気持ちいいですよね?ほら、こことか」
「う・・・・あ・・・」
悔しいがどうしても反応してしまう。
「おまえだって、疲れるだろ・・・・はぁ・・・あん・・・・」
「俺のことなら大丈夫ですよ。本当は、朝も昼も、いかしてあげたいくらいです」
出たな、俺の思考を上回る変態度合い。朝も昼もなんてありえないだろ、普通。
「あ・・・だめ・・・そこ・・・」
「だめじゃないでしょう?ここがいいんですよね」
「ひゃ・・・・あぁ・・・・んん・・・・」
「まだいっちゃだめですよ。ちゃんと奥まで入れてあげますから」
「あぁ!」
「くっ・・・蒼・・・可愛い・・・」
🔷
梅雨前だが真夏日も多くなり、汗ばむ気候だ。講義室のエアコンはもうだいぶ前から稼働し始めているが、節電対策なのか設定温度が高くて、正直涼しいとはいえない。
夏が来るなあ。
「じゃ、次、教科書の143ページからね」
浮足立っていた新入生たちも、新生活に慣れたらしく、けだるさが伺える。そろそろ試験の準備もしなければならない。夏の視察の計画も練っておかなくては。
「俺の専攻は、人と自然の歴史だから、この辺は正直詳しく話せないので、しっかり資料読み込んでおいてください。じゃ、授業終わります」
ガシャガシャと筆記用具をしまう音と、ひそひそ声が聞こえてくる。
「月島先生、今日もかっこいいね」「でも、話しかけずらいんだよね」「まさに、氷の女王だね」
氷の女王ってどうなんだ?最近学生たちの間で、そう呼ばれているらしい。
王子とかじゃなくて、俺のイメージは冷たい女王に近いのだろうか。まあ、どうでもいいことだが。
それよりも、昼飯食べに行く前に、教育学部へ寄っていくか。
夏のチアパム視察前に、白石教授に吉沢助教授とパイプがあるか聞いておかないと。
そう、そう思ったのが間違いだった。メールで聞けばよかったんだ。わざわざ会いにいく必要はなかった。ただ、教職員用の食堂が教育学部の校舎に近かったから、寄っていくことにした。それだけだったのに・・・
いつものように「夕食できました」メールを受けて要の家へいった。テーブルについて缶ビールを開ける。
今日は麻婆豆腐。ビールに合う。ぴりっと辛くて最高だ。
最高なのだが、さっきから要の様子がおかしい。
いつもなら「おいしいですか?」と幸せオーラ全開で、しばらく俺が食べるのを眺めているのに、今日はうつむいたまま黙々と食事を進めている。
そういえば、研究室でも様子がおかしかったかもしれない。
「麻婆豆腐もたまにはいいな」
「・・・・・」
おかしい。なんの反応もない。怖い。怖すぎる。何が起きているんだ?
「ご・・・ごちそうさまでした」
「・・・・」
やっぱり無言のまま、片づけが始まる。
俺がちらちら様子をうかがっているのに、要はいっさい視線を寄越してこない。
重い。部屋の空気が重い。
なんだか息までしづらい気がしてきた。朝はいつも通りだったはずだ。ということは昼食後か?
なにがあった?俺、なんかした?
「要、なにか怒ってるのか?」
最後の食器を洗い終わっても、そのままそこから動かない要が怖すぎて、仕方なく俺から歩み寄ることにする。
「生徒たちが噂してましたよ。食堂で白石教授と月島助教授が一緒に食事してたって」
「え?ああ・・・食べたけど」
「食べたけど?食べたけどって何ですか?」
怒ってる。明らかに怒ってる。声のトーンがいつもよりワントーン低い。
怖い、いつもさわやかなだけに怒った要は格段に怖い。
「いや、何って言われても・・・。ほら、前に読んでた論文あるだろ。最北大の吉沢助教授の。夏のチアパム視察の件で、吉沢助教授に連絡とりたくて、まずは白石教授にパイプがあるか聞いたんだよ。自分とこの教育学部すっとばして、いきなり他大学の教育学部に連絡とるのも失礼だから。そしたら、ちょうど昼だから一緒に食べようって誘われて、それで食堂いったんだよ。白石教授が今日は学食の日替わりランチが食べたかったらしくって、職員用じゃないほうの食堂にいこうって言われて。断るわけにもいかないし・・・」
「俺はまだ一度も蒼と昼ごはん一緒に食べたことないのに・・・」
「そこ?それで怒ってるの?たいしたことじゃないだろ」
「じゃあ聞きますけど、上岡大で働くようになってから、だれかと一緒に昼を食べたことあるんですか?」
「それはないけど・・・・俺、なるべく人と関わりたくないし」
「蒼の初体験を白石教授に奪われました」
「初体験っていうな。ただ飯食べただけだ」
「全部ほしいんです。今から起こる蒼の初体験は、俺が全部ほしいんです」
「おまえ・・何いってるんだ・・・・」
「わざわざ会いに行く必要なかったですよね?メールで聞ける内容じゃないですか。どうして会いにいったんですか?」
「ちょうど昼だったから、職員用の食堂行くついでに寄ったんだよ」
「なら、食事は断ればよかったじゃないですか」
「そんな些細なことを断るほうがおかしいだろ。おまえ、どうかしてる。もういい、帰る」
「帰しませんよ。俺の機嫌、ちゃんと取ってください」
「おい・・・まて・・・無理やり連れて行くな」
ベッドに投げ飛ばされる。すごい力だ。
「蒼は俺のものだって、わからせてあげます」
「何いって・・・ちょ・・・やめろ・・・」
強引にズボンと下着を引きはがされ、下半身があらわになる。いつもなら消すライトが今日はついたままだ。
「ほら、よく見てください」
壁側に置かれているはずの姿見が、なぜかベッドの横にある。
両足を開かれ持ち上げられると、すべてが鏡に映った。
「何してるんだ・・・この変態!」
太ももを撫でられると、いやでも反応してしまう。大きくなったそれが鏡にくっきりと映し出される。
「ちょっと・・・・やめろって・・・・」
「蒼が好きなのは、ここですよ。ほら、ここに指を入れるとすぐ体が反応するんです」
「ひゃぁ・・・ん・・・・かなめ・・・やめろ」
「見て、蒼、俺の指が入ってます。ほら、少し動かしますね」
「あぁ・・・んん・・・・やめろって・・・・」
要の指が出て入ってを何度も繰り返していく。そして、もう片方の手が俺のアレを包み込み、ピストン運動を始める。
「はぁ・・・・ああ・・・・ああ・・・・・」
押し寄せる快感に、理性が飛んでいく。
「見て、ほら、蒼、いつもこんな顔してるんですよ、俺の前では氷の女王も形無しですね」
なんて顔だろう。こんな自分を見たことなんてない。まるで要を誘うようなエロイ顔だ。発情しているのは要じゃなくて、俺だとでもいわんばかりだ。
「どうしますか?入れてほしい?」
「う・・・うん」
「じゃあ、入れてくださいって言って」
「何・・・言って・・・・」
「ほら・・・・指だけじゃ、いけないでしょう?」
確かに、浅いところをずっと刺激されて、気持ちいいがいくにいけない状態がもう何分も続いている。
「蒼、いうこときいてくれないなら、やめますよ」
「え?」
今まで動いていた指が止まる。ピストン運動もぴたりと止まる。放置された体が行き場をなくして、彷徨う。
「や・・・やめないで、言うから」
「はい、言ってみて」
「い・・・いれて・・・ください」
「いいですよ。じゃあ、自分でいれて」
「え?」
「ほら、自由にしていいですよ。俺の持って、自分で入れて」
「そんなの無理だ」
「無理じゃないでしょう。ほら、手だして」
俺の手に要が自分のアレをおしつけてくる。緊張と恥ずかしさでごくりと唾を飲み込む。
「やめますか?」
仕方なく、自分の手で要のアレを入れる
「ああ!」
「じゃあ、腰動かして」
言われるがままに腰を動かす。気持ちがいい。早く、もっと、ほしい。要のもう一つの手をとって、自身のアレを握らせ、ピストン運動させる。
「蒼・・・鏡みて。ほら、俺に自分で犯されてます」
「ああ・・・・んん・・・・」
そのまま絶頂を迎えた俺の首筋に要が何度もキスを落とす。
「蒼、もっとです。もっとわからせてあげますから」
それから何度も何度も、要に犯された。中でひたすら出されて、あふれたあれの匂いが部屋に充満する。
汚れたベッドシーツを洗濯機に入れ、一緒に風呂へ入った。
「おまえ、限度があるだろ。俺は明日も仕事なんだぞ?」
「すいません。蒼の前だと理性がどこかへ消えてしまうんです」
「消えすぎだろ」
「すいません。でも蒼、すごく可愛かったです」
「その話はいい」
そういえば、風呂に二人で入るのも初体験だ。まあこれは、内緒にしておこう。ムカつくから。
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