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第16話
第16話
朝目覚めると、ふわっと甘い匂いを感じる。今朝の朝食はワッフルかな。そう思うものの、体がだるくてすぐにベッドから出る気になれない。そうしてうだうだしていると甘い匂いと共に、あいつがやってくる。あの・・・一日中欲情した獣が・・・・。
「んん・・・・ぷはっ」
「蒼、おはようございます。今日も俺の蒼ですね」
「ん・・・もう・・・キスやめろ」
寝起きから何度も何度もキスされて、息が苦しい。
「おい・・・どこ触ってるんだ。昨日さんざんしただろう」
「ん・・・でも、ほら」
「やめ・・・・ん・・・・あぁ・・・」
指でなでられると、思わず体が反応する。
「蒼・・・・入れてほしい?」
「やめ・・・て・・・・ああっ・・・やっ・・・だめ・・・」
乳首を軽く噛まれて体が反り返る。
「大きくなりましたね」
俺のアレを要が口で舐める。先の方をペロペロと舐められると、我慢がきかなくなる。
「どうします?やめます?入れます?」
「ん・・・・いや・・・・っ・・・・やめ・・・・」
「本当に?」
「ああん・・・だめ・・・・」
「やめてほしい?」
「ちが・・・・あっ・・・・う・・・い・・・・いれて」
まったく抵抗できない自分の体が恥ずかしくて頬が紅潮する。毎朝こうだ。要から触れられることを俺の体は一切拒むことができない。
「仕方のない体ですね」
「ひゃあああ」
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やってしまった。
さんざん夜に抱かれたのに、また朝もしてしまった。俺の体の負担も相当だが、こいつの体はどうなってるんだ。さわやかに笑う要の笑顔を見て目を細める。
出勤すると、まず始めに二人で園内を見て回るのが日課だ。
手をつないでブラブラと歩いていく。
俺たちが手をつないで歩いていても庭師は何も言ってこない。それどころか、「今日も仲良しだね」なんて声をかけてくる。
例のごとく三分の一ほど歩き終わると研究棟へ向かい、デスクワークをこなす。俺の事務室に要のデスクも置かれているから、一日中一緒にいることになる。俺が一人になることができるのは、要が会議をしている時くらいだろうか。
肥料を共同研究した企業やこの植物園の経営のことなど、要は意外と忙しそうにしている。それでも午前中のデスクワークが終わると、必ず戻ってきて一緒に昼食をとりに外へでかける。
昼食は園内にあるデリでサンドイッチとコーヒーをテイクアウトすることが多い。植物園にある小高い丘の上は一般入場禁止で、要と俺だけが入ることができる温室があり、そこでランチをするのがお決まりのコースだ。そしてもう一つ、最近の要のお気に入りがある。
「なぁ・・・やめよう・・・ほら、体も持たないし・・・・ね・・・今日は休もう」
「ダメですよ。言ったでしょう?もう俺から離れようと思えない体にするって」
「ほんとに勘弁して・・・・俺、体もたないよ・・・」
「ダメです」
「んん・・・・あ・・・かなめぇ・・・・ゆるして・・・・それ、やめて・・・恥ずかしい」
温室は天井が開閉式で、開けると真っ青な空が見える。
「ああ・・・ほら・・・蒼・・・・今日も空が見てますよ。こんなになって・・・いやらしい体ですね」
「ん・・・・やめろって・・・」
ズボンを脱がされ、両足を無理やり広げられる。下半身が陽の元にさらされて、あらわになる。その自分の体制が恥ずかしすぎて、俺は顔を要の胸に押し付けてあげることができない。
最近の要は視姦プレイがお気に入りだ。とんでもないお気に入りができてしまったと思う。それもこれも、俺の体が異常に反応するのが原因だから、どうにもならない。
「蒼・・・ほら、ここも見せてあげましょう。今から、俺のを入れる場所です。お日様にあたってますよ。ヒクヒクしていてやらしいのがすごくよく見えます」
「そんなこと言うなっ・・・・あぁ・・・あぁ・・・・あっんっ」
腰を持ち上げられる。要が入ってくる。恥ずかしさと快感で喘ぎ声を止めることができない。そのままゆさゆさとゆすられる。
「はぁ・・・はぁ・・・蒼・・・可愛いですよ・・・・俺の蒼」
「あああっ!」
要の深い愛に包まれて全身に鳥肌がたつ。怖い、俺はどうなってしまうんだろう。こんな姿になって、脳みそまで溶けて・・・。
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準備よろしく丘の上の温室にはシャワーがあるので、昼食の後(セックスの後)にシャワーを浴びて体をリセットすることができる。すっきりした後(体はだるいままだが)は、園内の植物をまた見て回る。その時に種を採取したり、葉の状態を見たりするのだが、要は俺の助手としてそのまま付いてくる。もちろん助手としてこれ以上使える人間はいない。機材も持ってくれるし、話も通じるし、まあ、俺の教え子だなとは思う。
親子のペアは申請すると入場が無料になるカードがもらえるため、園内は平日でも小さな子を連れた奥様方で賑わっている。植物園はこの町ですっかり人気スポットになり、オーナーとコーディネーターがノーBル賞受賞者の俺と要だということも地元のメディアで一時期報道された。そのため、二人で歩いていると、手をふってくる人々もいる。
しょっちゅう手をつないで歩いているし、要が俺の腰に手を回してベタベタしてくることもあるので、俺たちの関係は周知の事実となっているが、だれからも何も言われない。というか、小さな子供は俺のことを「氷の女王」と呼んでくるから、たぶん男だと思われていない。ここは夏の王子が、一人で寂しく生きていた氷の女王のために建てた城という設定で、メルヘンな作り話もちまたではされているらしい。まあ、とにかく、俺たちにとっては確かに楽園だと思う。
夕方になると、鳥たちが巣へ帰るのか鳴き声と羽の羽ばたきの音が聞こえてくる。そんな時刻に夕日に照らされながら俺たちも帰路につく。家に帰ると要は夕食の準備があるので、俺は洗濯物をたたみ、庭の手入れをする。庭は一年中花が見られるように、いろんな種類の草花を植えてある。今はスズランが咲いていて、小さなベルのような花がかわいらしい。次は何を植えようかな。週末はまた園芸店を回りたいな。なんて考えながら出来立ての夕食を待つのは本当に幸せな時間だ。夜が来なければもっといいのだが・・・・。
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「これ嫌だ」
「蒼だって毎日草花の記録を取るでしょう?俺だって蒼の記録を取りたいんです」
ベッドの前におかれたビデオカメラを睨みつける。昼に加えて夜まで視姦プレイってどうなの?要は俺が自分に犯される動画をパソコンで管理しているらしい、しかも、以前からずっと・・・・。
「だったら隠し撮りにすればいいだろ。そもそも今まで隠し撮りしてたんだし」
俺がそのことに気が付いたのは、要が家のパソコンで最中の動画を見ているのをたまたま発見したからだった。日本の家のベッドが動画に映し出されていて、この行為がずっと前から行われていたことに気が付いた時は絶句した。しかし、こんなことになるなら、要を問い詰めず知らないふりをしていればよかった。
「撮られているって蒼が認識することが大切なんです。蒼の体、ビデオカメラ置いておくとすごく敏感になりますからね。イク回数も増えましたよね」
「うっ・・・・」
恥ずかしいせいだろうか、要の言うとおり、不覚にも体が反応してしまうのだ。
「ほら、こっち来て」
仕方なく、しぶしぶ要の腕の中におさまる。そっと服を脱がすしぐさが優しくてくすぐったい。
「ほら、ここをこうすると、すぐ大きくなる」
「やめ・・・・んん」
「可愛いですよ、蒼・・・ここも・・・ここも・・・全部俺の物です」
「はああん」
朝からずっとこんな調子で、正直身がもたないと思う。それなのに、要を好きだという気持ちはどんどん膨らんでいって、要の言う通り、もう要なしでは生きていけないとすら思えてくる。
「かなめ・・・好き・・・」
「俺が好きなら、言って」
「んん・・・・・」
「いつもみたいに・・・ほら・・・・」
「お・・・犯して・・・・も・・・もっと」
「蒼は誰のものですか?」
「ん・・・はあん・・・・要のもの・・・・」
「いつまで?」
「・・・ずっと・・・ずっと要のもの・・・」
「いい子ですね。ご褒美ですよ」
そう言って、要が俺の体に入ってくる。恥ずかしさと、興奮で、体が過敏に反応する。
「ご褒美好きですか?もっと欲しい?蒼、言って」
「す・・・すき・・・・ご褒美、もっと・・・・ああああああ!」
これが最近の日常。甘くて、怖くて、恐ろしい、俺と要の日常。
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