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第40話

薄茶色の毛。 ビー玉のような、青い瞳。 瞳は、夢の中でみたのと同じ光を含んでいる。 先ほどまで暴れまわっていたその小さな生き物は、 孝之の掌の中で不思議そうに鼻を鳴らした。 孝之は右手で子猫の背中を持ちかえ、 反対の掌で後足をすっぽりと抱え込み、 胸に抱いた。 小さな身体は、 孝之の両手の中にしっかりと納まっている。 龍司はリビングの壁沿いにある冷蔵庫から冷やしていた麦茶のボトルを取り出し、 コップに注いだ。 開けた窓から入り込む風が暑さを和らげてはくれてるものの、 部屋の空気を生暖かく掻きまわしているようにも思える。 「飼い始めてから一年が経つけど、身体が少ししか大きくならなくて。動物病院で診てもらったけど、異常はないみたいです」 「確かに、小さい…な」 龍司が2つのコップをソファ横の低いテーブルに置いた途端、孝之が大きなくしゃみをした。 上から降り注ぐ大きな音と振動に、 子猫はか細い声を上げた。 孝之は悪い、と小さく呟くと、 子猫をなだめるようにさすり、落ち着かせた。 「実は…猫アレルギーがあって」 「…それで…」 「連れて帰って、やれなかった」

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