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第39話
「んっ……はぁ……」
ユイトは気持ちよさを逃がすように、奏一の下で体を捩った(よじ)りした。すると奏一が行為をいったん止めた。
「気持ち良い?」
そう聞きながら、胸の粒にキスをしてきた。
「……なんか、ムズムズする。こういうこと、他の男にもやったのか?……浩一郎にも……」
「え?何だよ、野暮だな。一々そんなこと聞くなんてさ。ダメだなぁ、ユイト君。こんな時に前の男のことを持ち出すなんて、思い切り野暮だろ?萎えちゃうって」
奏一は少しだけムっとしたようだった。彼自身の中にまだ浩一郎のことが残っていたとしても、それは関係なくユイトがわざわざ浩一郎のことを持ち出したことに嫉妬してくれているのだろうか。
「……ご、ごめん……でも俺は別に、浩一郎のことは今は思い出になってる程度だし……
ただ、何となくふと思い浮かんじまったんだよ。きっと、浩一郎ともしたんだろうなって。仕方ないことだし、俺には何も言う権利はねぇけど、嫉妬したんだよ」
顔を赤くしてつっけんどんにそう言うと、奏一はふっと笑った。
「妬いてくれたんだね、過去のこと。でも、それは俺だって同じだよ。だって、浩一郎とは君の方が先に出会ってるわけだし、ね?」
「そ、それはそうだけど……あんた…じゃなくて、奏一、浩一郎の事忘れられないって言ってなかったか?」
「言ったよ。でも、今している恋と、心の中に仕舞っている人は、違うんだ、俺の中ではね」
「そんなもんか?」
「なんか変な感じもするけど、今俺は君でいっぱいで、君と出会う人皆に嫉妬してしまうんだ。とっても心が狭い男だよ、俺はね」
奏一はユイトの胸の粒をちゅっと音を立てて吸った。
「ンっ…」
ユイトは歓喜の声を漏らす。そして、奏一はいいだけユイトの可愛らしい飾りで遊ぶと、「穿いてるの、取っちゃおうか。邪魔だからね」と言って、ユイトのボトムに手をかけて脱がせにかかった。
「え?あ……それくらい自分でやるって」
慌てて顔を上げて制止しようとしたが、それを反対に遮られてしまった。
「いいの。俺がやってあげたいんだ。やらせてよ」
ニッコリと微笑まれて、ユイトは何も言えなくなる。
「わかったよ。ホント、あんたには逆らえねぇな」
ユイトがあきらめると、奏一はふふと笑い「あ、その前にTシャツもきちんと脱ごうね、なんかその状態だと間抜けだし、動き辛そうだから」と言う。そしてユイトの上半身を起こさせて、胸の上までたくしあげられているTシャツを引き抜いて床に放った。
そして、ズボンも片足ずつ引き抜いていく。
すると、パンツ一枚という恰好になったユイトは、何だか久々のことに恥ずかしさを感じてしまう。そこまで初心なはずではないのだが、奏一と初めてということや、彼に愛されることも初めてということがあるから、一層緊張が高まるのだ。
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