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26 大輝の回想《大輝視点》
俺は…………
「立てよオラッ!」ドスッ!バァーン!
この時には壊れ始めていた。
「もう…勘弁してくれ…グハァ!」バシーン!
「チッ5人居て金こんだけかよ。
ペッ…弱えー癖に人数だけは揃えていきりやがって…とどめ指される前に失せろ!」
「うぇっ…ゴホッゴホッ…い…くぞ」
こんな事を毎日してた。
喧嘩に金巻き上げたり女を性処理にして捨てたりクズそのものじゃねーか……
いつからかだ?…………
俺に親はもう居ねえ。高校入って直ぐにな……
俺は昔からトラブルを起こしてきた
その後知らねー親戚に引き取られたが扱いは
ひでぇもんだった。
その頃だろ…完全に荒れ始めたのは……
家には夜中まで帰らず、その内学校や外でも
問題行動を頻繁に起こすようになってから恋人や友人とも縁を切り遠ざけてきた…
遂には見事に退学にもなっちまった。
2ヶ月も経たずに退学になり、それから直ぐに
俺は親戚の家も出て街からも離れた。
それから中央駅の繁華街にたどり着き、
さ迷ってる内にあの溜まり場に行き着いた。
だが俺はかなり荒れてて溜まり場でも初めは上手くいかなかった。
毎日喧嘩にかつあげや一方的な暴力したり等
暴走して自分を押さえ切れなかった。
だから溜まり場でも怖がる奴は少なくなかった。
でも女達はちょっと煽てりゃ金も渡してくれてたり…年上の女が住まわせてくれたりかなりと上手く利用してきた。
何でも利用してやろうと当時は思っていた。
まだ家出したての頃に1度警察に喧嘩で補導もされたが親戚が来て引き取ってすぐ無言で解散しただけだ。
捜索願は出されなかったようだ…
当たり前だがな。
ある意味家を出た時点で絶縁したようなもんだからだ。
それからはなるべく警察を欺いてやるようにしたし、あれきり親戚とは会ってない。
危険もある中央の繁華街で生き残る為にと
護身用と喧嘩強くなるために溜まり場で元陸上自衛隊だった滝ってオッサンに何度も頼み込んで所有してるという道場でまずは合気道と
キックボクシングを鍛えて貰うようになった。
合気道は小学6年間はやってたので直ぐ勘は
戻った。
そして武術以外に武器の知識、色んな修羅場の潜り抜け方等の軍隊並に厳しかったが訓練をしてくれて様々な知識を得た。
《大輝!ただ強いだけではダメだ。
今のお前は暴力をしてるに過ぎん。
喧嘩と暴力は違う!
意味のない、又は弱者に振るう拳が暴力!
だが喧嘩とは何かを守るために使う事だ。
そして守りたいという気持ちを持ち続けられる者が初めて強いと言える。
お前を訓練したのはその心得を持ってると感じたからだ… 決して暴力に使わせる為じゃない…
それをよく覚えておきない大輝》
《オッス師匠》
普通体型だが元々握力は強い方だし…
もちろん何度も負けた事はある。
だがちゃんとした正統な格闘術や心を身に付けた事や実戦経験も積む事で体格に差がある相手にも喧嘩で負ける事もなくなった。
だが俺は同時期別の組織に所属し、裏の仕事をこなし、金を貰ってこの手を汚してきた。
だがその話はまた別の機会に振り返ろう。
でも今ではしっかり教えを守り、
身の危険があった時や友人や陽加や光希を守るためだけに使うだけと決めてる。
今でもたまに道場には顔出してる。
強さは維持しておきたいのとまだまだ
学びたい事もあるからだ。
19を過ぎた頃、俺には17から付き合ってた咲哉がいた。LGBTが当たり前になった時代だし、溜まり場でも決して少なくない。
傷ついてた俺を側で癒やしてくれた。
通信の高校は通ってたから卒業したらしい。
溜まり場来たのは中学時代に帰宅中男数人に
レイプされて一時期は心が壊れてしまってた
そうだ。
それから溜まり場が拠り所になったみたいで、溜まり場メンバーだが家や学校には行ってた。
メンバーにも色んなタイプがいるからな。
卒業後咲哉は18から売り専に入ると持ち前の可愛さで人気になり、いつの間にかビデオにも出演するようになって金もかなり稼いでいた。
俺も乗じて表のバイトを始めた。
ちゃんと同棲するためにしばらくは咲哉の部屋に居候して金をひたすら貯めた。
思えばこの頃から俺は変わり始めた。
そしてようやく今の引っ越す前の部屋に2人で暮らせるようになった。
咲哉は荒れてた時から笑顔で支えてくれた。
そのお陰で少しずつ落ち着いてきた。
滝と咲哉のお陰だ。
俺も咲哉の前では暴れたり手を出したりは
絶対しなかった。
咲哉のためにも真面目になろうと決心した。
だが俺は咲哉と別れる少し前までは裏の仕事も続けてはいた。
咲哉はもうやめてとずっと説得してきた。
だが簡単に抜けれない世界だし、
最悪消されてしまうだろう。
そこで俺は条件を全てこなし咲哉と別れる少し前になってようやく足を洗えた。
その後表のバイトをしていきその関係上飲食系がたまたまだが多かった。
で何となく料理を学んだら楽しくて
あっという間に上達できた。
夢中で作り過ぎた時ふと思った。
溜まり場の奴らに配ってたらどうか?
迷惑かけてきたせめてもの償いで始めたのが
きっかけだ。
だが先ずはバイト先の見栄えもあるが、自分を変えるためもあった。
かなり長めでボサボサだった髪はバッサリ切り短めにしておとなしめなセットをするようにした。
銀から目立たない茶髪にした。
なんか黒髪以外昔の俺に戻ったみたいだ……
咲哉からも好評だった。
皆実際喜んでくれた。
最初は俺の変わり様に驚いてた。
「大輝カッコいい、落ち着いた雰囲気になったね爽やか系かな?写メ撮ろうよ」
「やっぱ短い方が似合ってんじゃん、茶髪もだし、短髪の方が顔見えるしな」
「今まで悪かったな…心入れ替えたいんだ」
「料理男子いいね。モテるぞ」
溜まり場連中の支えになってやろうと思った。
だが逆に咲哉とは喧嘩が増えた……
売り専や今後についてだ。
はっきり言って咲哉は浪費癖がある。
無駄な買い物が多い。
本人は客商売だから仕方ないと言ってたが、
本当は売り専自体辞めてほしいのが本音だ…
俺は昼の仕事して貯金しようと言ってきたが
最後まで意見が合わず揉めたまま平行線で大喧嘩を繰り返し遂に俺達は…
「大輝…僕は別れたくなかったよ…元気でね」
「咲哉……」
ガチャン
咲哉は泣きながら出てった。
俺も泣きそうになった。
唯一の支えを…愛する人を失った…
…ダメだやっぱり別れたくない
もう一度話し合おうとすぐ追いかけて探し回ったが見つからなかった。
恐らくタクシーとかで移動したんだろう…
LINEも電話も出なかった……
住む場所も知らない……咲哉
咲哉が出てった事で生活も苦しくなった。
はっきり言って当時は稼ぎは咲哉の方がかなり上だったから住めたようなもんだ。
裏仕事の報酬も浪費されてなくなったからない。
高額の裏の仕事をやめた今
レストランのバイトだけじゃやっていけない。
そこで俺はパソコンを使って株取引や事業を立ち上げてみた。
頭をフルに使って色々試してみた結果……
ようやく成功し、まだまだ少ないが徐々に稼ぎが上がってきた。
咲哉がいる時に始めてれば売りなんか辞めさせれたかもしれなかったのに……
俺も早く抜けれたかもしれないのに……
後悔ばかりだ。
あれからも連絡もしたが繋がらないまま、
咲哉は売り専の仕事始めてからは溜まり場に来なくもなったため1度も会えなかった。
俺は何のために変わったんだよ。
咲哉と幸せな生活を求めただけなのに…
全て無駄だったのか?
咲哉の為に変わると誓ったのに……
何でいつも大切な人を失うんだよ……
仕事に専念して忘れる努力をした。
バイトと両立はなかなか大変でしばらくは
溜まり場にも行けてなかった。
そして久しぶりに差し入れ作って溜まり場に行ってみたら新規がかなり増えていた。
男女ともに同年代や年下が多くなった。
俺を知らないやつが多いだろうな。
最近ネットや世間でも注目されちまってるから集まってきたんだな。
「光一、来たぜ」
「おー大輝久しぶりだな咲哉は元気か?」
光一は24で中間メンバーの1人ってとこだ。
10年前からよく来てた長い奴だ。
光希と仲がよく気に入ってるみたいだ…
「まぁ色々あってな…改めて話すな
所で新規増えたんだな?」
「まぁ今や全国から来るしな、それだけ居場所がない奴が多いって事なんじゃねぇのか?」
今日は唐揚げ配りながら
初対面の奴らには自己紹介していった。
話してる内に大輝は危険な奴だと噂も出てるらしく避ける奴もいた。
半分事実だから仕方ないが嘘混じりでかなりヤバイ奴にされちまった。
でもそれは日に日に関わる事で信じる奴は減ったが。
粗方撒いた奴は想像ついてるが言いたきゃ言ってりゃいいさ
少し経った頃いつもの様に配ってる内にふと隅にポツンと座ってる奴がいた
また新規か?
「よかったら食べるか?旨いぞ」
差し出してみると
唐揚げを1つ取り食べてくれた。
髪はボサボサだけどそれ以外は普通だ。
見た目的に中学生くらいか?
「お前名前と歳は?」
「・・・・はるか15、16の代だけど」
そう…陽加と始めて出会った日だ
「はるかだな16歳か、中学生かと思ったぜ。
家出か?」
「したけど住まいある」
「それって…」
「ねぇねぇイケメンさんだぁれ?」
「俺は大輝20歳21の代だ…でお前は?」
「俺っちはみつきだよ。大輝カッコいいね。
陽加と同じ16よろしくねー」
「ああよろしくな…俺は元メンで最近は食べ物配ったりしてるからいつでも相談乗るぜ?」
それから1年近く経って2人と友人関係になり、
陽加を正人から引き離したり、
光希を高橋から助け出したりとトラブルが続いたが、気づいたら友人から恋人になった。
気づいたら陽加や光希に惹かれていた。
3人で恋愛なんて中々障害もあるだろうが、
2人も惹かれあってるし、俺はそんな恋愛もありだと思ってる。
片方でも追い出したら何しでかすかわかんねぇのもあるが、もし2人が今後他に好きな人が出来て幸せになれるなら俺は身を引くつもりだ……引き留める資格は俺にはねぇからな
今は3人で同棲し始めて引っ越してたり、
ダチに預けてたチワワのシロ…家族も増えた。
幸せ絶頂期だが、また一難だ。
陽加の父親が近くに来ている。
それも咲哉の客の1人だなんて…
なんの因果だよ次から次へと…
だが咲哉は一度言った事は裏切らないし、
バラしたりはしない…そういう奴だ。
ただ父親が納得して街から消える保証はない。
それに頼みはしたがやっぱり咲哉も心配だ。
もしもの時俺は陽加を守れるだろうか?
いや守んなきゃいけねぇ…
もうあんな事は起きてほしくねぇから
ガチャ
「ただいま」 「アンッ!アンッ!」
「おかえりなさいチュッ…
今日は肉じゃがだよ」
「だいぶ料理上手くなったな」
「エヘ…そうでしょ?」
「ダーリンお帰りチュッ、もう出来るからね」
久しぶりに過去を振り返ってみると長く感じんなぁ、俺の人生は失敗ばかりだ。
そもそも俺だけ幸せになる資格あんのか?
他人を散々不幸にしてきたこの俺が……
親父…お袋、俺にがっかりしてんだろうな?
俺は1度闇にまで落ちちまったが…
でもせめて陽加と光希を守ってくれ
最悪俺はどうなってもいい。
俺の罪は一生消えねぇから毎日償ってるつもりでも心が全く晴れねんだ。
これが罰なんだなきっと一生罪悪感に苦しめと……
心から2人が好きだ。
けど本当に陽加と光希を俺なんかの側に居させて良かったのだろうか?
だけで今は他に方法が思い付かなねぇ…
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