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79 悠里と大輝の対面《大輝視点》

帰るため更衣室に向かおうとしたら反対側から アイツらに会ってしまった。 「あっ悠里さん」 「あれっ陽加ち・・・・」 「・・・・・・」 お互い顔見合わせた。 まさか悠里も来ていたなんて…… でも関わらないのが悠里の為だ。 恋人には睨まれてるのも分かる。 それに俺はもう…… 「2人とも行くぞ」 俺は2人を連れて通りすがろうとしたが 「待って大翔!」ピタッ 「「えっ?」」 チッ……悠里は後ろから抱き付いてきた。 「離せ!人違いだ、 俺は前田大輝だ、アンタ間違えてるぜ? 俺ら急いでるんでじゃあ」 「嘘つき!確かに雰囲気は変わったけど 声も顔つきも首のホクロやすねの傷跡も全部あるじゃん! 俺を誤魔化せる訳ないでしょ! 俺は大翔をずっと探してたんだよ? この前駅でも会ったじゃないか! 話がしたいんだ……大翔お願いだから」 「悠よせ、コイツと居たら穢れるぞ! フッ!お前も呑気だな?散々人を犠牲にしてきた死神がお気楽にスパリゾートか?」 「・・・・・・」 「離して和真!大翔は穢れてなんかない!」 「俺も今のは恋人として聞き捨てならない、 悠里さんの彼氏でも最低だよ、でも大輝、 悠里さんの言う…ひろと…ってどういう事? どっちの言ってる事が本当なの?」 マズイ陽加達にどう説明したら…… 「知らねぇつってんだろ!早く帰るぞ」 「大翔待って!」 悠里はしつこいのは昔からだ…… 「あのー悠里さん勘違いじゃないんですか? そのひろとさん?じゃなく前田大輝ですよ? だって免許もそうだよね?」 「違う!俺には分かるんだ、 間違いなく彼は桐原大翔だよ! 名前は確か変えれるから不思議でもないし、 そうなんでしょ大翔? 晴翔だって会いたがってるんだよ?」 「悠…本人が違うと言ってるんだ。 もう行こう、それにもうこんなクズの事は 忘れる約束だろ?」 「ちょっとさっきから人の彼氏にクズって どういう意味?」 「彼氏?可哀想にな…… ならこの男の本性教えてあげるよ コイツは桐原大翔、悠とは中高の同級生で、 付き合ってたんだよ。 でもコイツのせいでたくさんの人間が色んな理由で不幸になってしまった、悠里も含めて…… 死んだ人間までいる。全部桐原大翔が絡んでるのが証拠だコイツは悪魔なんだよ。 君らも早く距離をおいた方が身のためだ」 「そんなぁ…全部大輝のせいだなんて」 「陽加…いいから全部事実だ」 「和真やめて!少し2人で話させて」 「2人になんかさせる訳ないだろ? また悠に何かあったらどうするんだ? それに晴翔は?」 「晴翔も俺も大翔のせいなんかじゃないって 何度も言ってるじゃないか! お願い大翔少しでいいから……」 もう隠すのは無理だ どのみち帰ったら問い詰められるだろう。 そうだよ、もう知っての通りだが、 俺は桐原大翔だ。正確には元だがな。 退学の後手続きして正式に戒名したんだ。 過去から絶ちきる為に…… で前田大輝になった訳だ。 お袋は本当は自殺じゃなく他殺だった。 ドライブがてら親父の現場に花を置く為に田舎町まで来ていた。 だが待ち伏せされたのか1人の男に お袋が撃たれて俺も撃たれそうになったがお袋が最後の力を振り絞って血を流しながらも俺を助ける為に男を掴みがかり崖から道連れにして落ちて2人とも死んだ お袋は最後に 《大翔……ごめんね、貴方は絶対生きなさい》 そう言い残して落ちていった 《母さーーん!何でだよ…何で俺らばかり… クソーーー》 立花グループの残党に撃たれた……なのに。 警察としても不祥事になり信頼を落とす原因になった会社の事をこれ以上公にしない為に勝手に死因を自殺にしやがった。 何度も抗議したが無駄だった。 以降俺は警察を一切信じなくなった。 それで俺は変わり始めたんだと思う。 そこに来て今度は悠里があのレイプ事件だ。 晴翔はその前年に…… 立花グループの残党はJ所属時に優先的に志願して何人も抹殺してきた。 両親を殺した奴らは許せなかった。 スカウト受けて入った理由の1つでもあった。 今なら刺し向かってくるならこっちから迎え撃ってやる。あの頃の俺とは違う 完全復讐する為に……闇に落ちた男さ 実は井上康雄の経歴を知った時、陽加を抹殺して同じ目に合わせてやりたいと思ってしまった自分がいた…… でも俺には陽加を殺すなんて出来なかった…… もちろん愛する恋人だからもあるけど、 腐ったやり方をしたら奴らと同類になってしまう……アイツらと一緒になるのはごめんだ だが俺は周りを不幸にする呪われた人間…… あんなに俺に優しかった松丸両親も人が 変わってしまい、今でも俺を恨んでる。 恐らく晴翔もな。当たり前だろうが…… 大事な千尋を失い、その家族全員を失い、 智樹を失い、悠里の親友達を失わせ挙げ句には俺の両親も失った。 そして晴翔は足を悪くしてしまった。 横断歩道前で誰かに押されかけたが一緒にいた晴翔が庇って車に轢かれて命は助かったが、 下半身が全部ではないが使えなくなった。 それで実家に戻る事になり、車イス生活している。 これも多分立花グループの残党だろ…… この時も俺は何も出来ず自分だけ無事だった。 今の彼氏の和真は高校で同じクラスだった。 和真は悠里に一目惚れしたらしくよく声をかけてきたり告白までしてたそうだ。 当初悠里は当然断ってたし、俺らも関係も良かったが人の良さに惹かれる物があったのか悠里と奴は少しずつ仲良くなっていた。 奴は達の悪い事に両親の心を掴んでいき、 食事に招待もされてたそうだ。 俺はお袋を亡くして親戚で散々だった為 日に日に病んでいった。 悠里だけが唯一の味方で毎日側で俺を支えてくれた。 けどあの事件で和真は俺が動けない間に悠里の看病を行った。 事件のあとしばらくは警察で動けなかったが釈放されてからすぐ悠里の病院に行ったが、 悠里は当時はまだ錯乱状態で話せず 両親と和真は会わせてくれず晴翔の事もあり、両親は完全に俺を憎み逆に罵詈雑言浴びせられた。 《晴翔も悠里もお前のせいだ!母親もだろ? お前は呪われてんだ……2度と近づくな》 《貴方がいたらまたおかしくなってしまう、 あの子を想うならもう会わないで》 《俺が居ればこんな事は起こさせなかった。 悠里は俺が側にいる、言っとくがお前を一生許さないからな》 最初はショックだったが言われて当然だ…… 退学になるわ最愛の悠里と引き離されるわ、 だから俺は家から失踪して溜まり場まで行き着いたのが始まりだった。 悠里の為にも忘れようとしてきた。 実際あれからは平和な生活してたようだし、 やっぱり呪われてんだな俺が。 今回は咲哉は失ってしまったが陽加達は絶対 守りてえ。 咲哉と言えば…… 「大輝、悠里さんと話してあげて? 俺ららよく分からないけど事情あるんでしょ? 2人の為にもお願い、俺らとは帰ったら話そ?和真さんも見える範囲でなら良いですよね?」 「チッ……悠里に触れたら許さねぇからな? あと手短にしろ」 「ありがとう陽加ちゃん、大翔来て」 悠里は俺を引っ張った。 「待てよ悠里!……」 「やっぱり覚えてるじゃん大翔」 「・・・・」 俺は合意してねぇのに悠里に引っ張られて2人きりになった。 悠里と2人で話す自体6年ぶりだ…… 今更なにを言えと? 「まだ言い張る?違うと…なら陽加ちゃんに」 もう分かったよ! 「ハァ認めるよ……退学のあと戒名したんだ。 悠里……今まで遠ざけたのは悪いと思ってる。 今までの事も全部俺のせいだ。 だからお前らの為に去ったんだ…… 俺はお前らにとって害悪でしかねぇって はっきりしたんだよ。 お前の幸せの為にも話すのは最後にしてくれ、すれ違っても無視してほしい、 もう陽加もバイト辞めさせるからな」 「ふざけないで!俺がどんなに心配したか、 どんなに寂しかったか知らないでしょ? さっきから勝手ばかり言って、 俺も晴翔も大翔を憎んだりなんかしてないよ! 俺はずっと探してたんだよ? 退院して学校行ったら退学になったって聞いて親戚の家行ったんだよ? でも家出して居なくなったって…… 両親だって人が変わったみたいに大翔を責めてて本当許せなかった。 俺のせいで退学になったんでしょ? 何度も戻して貰うよう抗議もしてきたのに学校は聞いてもくれなかった、悪いのはアイツらなのに」 「・・・・」 「大体1番被害者なのは大翔じゃないか! 晴翔の事で落ち込んでた所でお母さんも亡くして親戚では最低な扱いで俺もあんな事になって発狂したいくらい辛いのは大翔の方だった筈なのに大事な時に側に居てあげれなかった。 和真が看病してくれたけど半年も掛かったんだよ? 俺は大翔が居てくれたら絶対早く回復してたと思うけどもう大翔は居なくなってた……」 「でもその後お前は和真と付き合っただろ?」 「正確には高校卒業前に……両親は完全に大翔を逆恨みして逆に彼を気に入って…… 俺も大翔に会えないと思って最初は寂しくて 付き合ったんだ。 もちろん少しずつ好きになって今では同棲してるよ……本当は全部大翔としたかった未来を今和真としてる…… 会ってみたらやっぱり大翔が好きだよ…… 大翔は名前変えてまで今まで何してたの?」 「俺の事は知らない方がいい、ただ俺は闇に落ちた人間だ、全うに生きてないし、奴の言うように俺は穢れてんだよ」 「なら陽加ちゃん達は?何で付き合ってるの? あの子達未成年だよね? 陽加ちゃんは優しくて幸せだといつも言ってたよ? やっぱり俺の事怒って嫌いになった?」 「違げーよ!毎日考えてたさ、忘れた事なんか1度もねぇけど俺らはもうやり直せねぇんだ…… お前の幸せをまた壊したくねぇんだ悠里 初めて愛した奴なら尚更だ」 「ねぇ大翔今度邪魔が入らない所で2人で話そ?LINEと番号教えて」 「ダメだ、言っただろ? これ以上俺に関わるな! 頼むからもうこれで忘れてくれ、 じゃあな悠里、幸せを祈ってるじゃあな」 「……晴翔にも話したよ。 アイツ何度か自殺未遂したんだよ?」 俺は振り返って悠里を見た 「な……んだと?晴翔が?」 「電話したら喜んでて会いたいって言ってた。 もう連れてくるって約束したんだよ? 大翔が拒否したらまた暴走するかもよ? 俺もまだまだ話したい事あるんだから。 これでも冷静保つのに必死なんだから…… 過去の事例えどんな事だろうと聞きたい、 今までの知らなかった大翔を知りたい、ここで言えないならいい場所あるし、交換するね?」 流石俺の性格を理解してるだけはあるな…… 悠里は昔から何しでかすか分からない時がある、今パニックになられたら困るからな。 「チッ分かったよ、 でもお前の家族が家に居れないだろ?」 「その辺は大丈夫、でもまずはどうするにしても1度2人で会って話そ? 本当は今もっと話したいけど和真や陽加ちゃん達もいるから、2人だけの方が話せると思う。 それで判断してほしいの、 それに陽加ちゃん達何も知らなそうだけどちゃんと説明してあげるべきじゃない?」 「お前らのせいでそうなりそうだよ」 「だね、でも遅かれ早かれいつかはバレてしまうさ、でも会えて良かった。 最後に大翔……ちょっとだけ変わったね、 口調が俺様系みたいになっちゃってるし、 昔の穏やかな大翔が好きだったな。 でも今でも……大好きだからね、」 昔から変わらないくらい可愛い笑顔でそう言って行ってしまった 光希と陽加が来て 「大輝帰ろうか?」 「何か事情あるんでしょ?帰ったら話そ? 桐原大翔さん 」 「やめてくれ……早く行くぞ」 俺達も着替えた後家に向かった。 LINE追加 悠里……また繋がりを持ってしまった。 これで良かったのだろうか? あと陽加達には言わないつもりだったが悠里達との遭遇で完全にバレた。 前田大輝じゃなく桐原大翔の人生を説明しなきゃいけねぇ、陽加の親父も立花グループだった。初めはこんな偶然が?と驚いた。 帰ったらどう説明すべきかまだ悩んでる

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