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98 桜木警部補の事件簿1《桜木視点》
あれから約束を取り付けて数日後会う事になったけど
彼も私達寄りな考えっで警察組織、いや政治自体信じてない。
だからこそ信用は出来るけど、難点を言うなら彼は気分屋で
一応保身はしたいタイプで深くまでは関わりたがらない。
協力はするが手は貸せない
彼の口癖で一見矛盾してるけどこれには意味がある
裏からこっそり支援だけはするが直接手は貸さないぞと言う意味。
事実彼は今までそうだった。公安部として裏から情報提供や許可されてない追跡等
ある意味違法捜査とも言えるグレーゾーンを任せてた。
真中圭一郎 私と同い年で階級も同じ警部補。今は本庁の公安部に所属してる。
公安は秘密主義で詳しい部署までは教えてもらえないけど昔一時期同じ課の同じ部署にいた友人でもある、助けにはなるはずよ。
「久しぶりだな鬼桜...さんよ」
「その呼び方はやめて、
相変わらず用心深いのね?場所指定しておいて遅刻なんて」
彼は昔から用心深い、公安に向いてるかもね
「フッこうして面会してやっただけ有難いと思え、で今度はなんだ?
次は安藤の死も疑ってるのか?」
相変わらずはアンタもじゃないのよ。
カラオケボックス、確かに密室で誰かに見聞きされる事はないけど
「それもあるけど安藤君から届いたものがあるの、見てみて」
私は経緯を説明しながら彼もPCで記録を確認してもらった
「なるほどな、確かに怪しい点は多いな。
しかもあの桐原警部補の息子がまた絡んでたとはなぁ、
安藤の奴もこれを調べたのを最後に自殺か怪しくなってきたな」
「でしょ?でも大翔君もだけどこの第3の組織が気になるのよ。
あと井上陽加って子実は記録上では施設に入ったとあるんだけど、
話したいと思って施設側に連絡したら入居してないと言われたの、
しかも児童相談所が引き取りに行った筈なのに井上陽加の引き取り要請はなかったともよ。
こんなのおかしすぎるわ、現に引き渡しは署で行われたのよ?」
「確かに不自然だな、井上康雄、アメリカ国籍持ちの元CIA諜報員にして
帰国後に立花グループの裏組織に所属したが、倒産前に辞めてるいて逮捕もされてない。だが今年事故による焼死だと?これも匂うな」
少しは興味が出てきたみたいね
「怪しい点が多いでしょ?
調べれば調べるほどおかしい」
「だが今の時点では何も証拠にはならないし、立花の残党については情報が公安でも皆無だぜ?」
キーマンは桐原大翔…
彼も恐らく何等かに関わってるか知ってる筈。
井上陽加とも親しい関係みたいだし、
安藤君の見立てでは一番最後に会ってる。
住所までは記録になかった。
恐らく別のところが担当したからだと思うけど。
調べるのは簡単だけど、極秘だから私は内部では動けない。
「まずは桐原大翔を見つける、
今の警察組織もまだ残党にいないか分からないから私達だけでね
今回の彼が味方かは分からないけど、残党に狙われてるのは確かよ。
とにかく一度話したい、後第3の組織の事も調べられそう?」
彼も悩んでるけど真中君が協力してもらえなきゃ調査は進められない。
もちろん危険は橋を渡らせてしまうけど…
「ハァ協力してやるよ旧桐原班もアンタ一人になっちまったんだ。
だがその第3の組織やもしかしたら他にも別モンがいるかもしれない。
俺もアンタも命懸けの捜査になるだろうが覚悟はあるか?」
言われなくても分かってる。
「ええ覚悟の上よ、私が決めた事なんだから」
「分かった、順番に調査するが
とにかくまずは桐原大翔の居場所と連絡先を掴んでやるよ、
記録では前田大輝に…まぁ戒名したんだな、それで検索してみる。
俺も記録を読み返す限り井上陽加との繋がりも深い。
その子の居場所も調べるが簡単じゃねぇだろな
桐原大翔が知ってる可能性はあるが確証はまだない」
中央町繁華街溜まり場、彼らの出会った場所、そこも気になる
「記録とこれまでの経歴的に多少怪しい点がある。
でもまだ彼を被疑者として扱うのは早いわね」
「尊敬してた桐原警部補の息子だからか?
アイツは父親も母親も立花グループに殺害されてる。
復讐心に駆られてるなら何するか分からない、例えば元社員の息子を…」
「ちょっと待って彼が井上陽加を殺害したと言いたいの?」
「落ち着けこれはあくまで推論だが
奴はその第3の組織に所属してるのか独断でかは知らんが、
奴は溜まり場と呼ばれる場所に居た。
そんな時井上陽加と出会って父親の事を知り逆上して殺した。
あえて優しいフリして油断させてからな、
そして後に知った安藤も自殺に見せかけてやったとなれば説明はつく。
第3は安藤によれば裏組織で危険な連中なんだろ?
つまりもし桐原大翔が深く関わってるなら言うまでもなく重罪で死刑ものだ。
もしそうなら拠点を吐かせて一網打尽に出来れば第3の組織は解決だ。
まぁ最大に上手くいけばだがな?
どうせバックに大物がいるだろうから簡単にはいかねぇがな。
組織名が分かれば公安でもヒットするかもしれねぇんだがな」
確かに一理はあるけどあくまで憶測で私は彼と会うまでは結論は出さない。
「確かにまだ憶測に過ぎない話ね。
とにかくあなたは内面で協力して、
動くのは私、彼とは面識もある。
会うまでは判断しないわ。勿論警戒はするし、装備もまた借りるわね」
真中君も協力はしてくれそうね。
それだけで十分よ、危険になったら彼は外すつもり
「分かったよ、俺は情報や物を与えるだけだ。
協力はするが手は貸さない、分かってるな??後はアンタ次第だ桜木。
まぁとりあえず桐原大翔と井上陽加だな、何か掴んだら連絡する」
「ちゃんと分かってる、
でも最後に一つ言っとくけど
私はあくまで立花グループの根絶と第3の組織の解明、その先がいるならそれも含めてね、
だから長期戦は覚悟して?」
「流石鬼桜だな、
刑事から降ろされて訛ってるかと思ってたが アンタもホント相変わらずだ」
「それは違うわよ、私だって一時期は見失ったし辞職しようかとも思ったわ、
でも安藤君に託されて思い出したのよ、
刑事としての自分をね。
まぁ違法捜査した経験があるのも事実だけど
私なりなやり方でやるわ」
「そうか、とにかくまた連絡する」
笑みを浮かべながらそれだけ言って彼は出て行った。
とりあえず今は彼の情報が届いてから見直して徐々に捜査しましょう
これも独断の違法捜査になる。派手には出来ない
桐原大翔君…今回事によっては貴方と敵同士になるかもしれないわね。
だけど私は信じたい、復讐心に負ける男じゃないとね。
だけど私も刑事として調べさせてもらうから
さて帰ろうかしらね
あっ!お代は私持ちみたいね……彼らしいけど
まぁ協力代にしとくわよ真中君
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