今は0時過ぎだ、陽加はもう寝た あれから結局ホムラから折り返しはなかった。 恐らく拘束されたか最悪…奴らの掟は命令違反一つで処刑される。 今後はJも敵になるかもしれない そうなったら陽加や光希、悠里達もどうなるか分からない 話を聞く限り奴を暗殺したら確実に権力のある父親は報復として全員抹殺リストに入れて実行してくるだろう。 そうなったら俺1人じゃどうにも出来ない。 さてどうしたものか、いっそ降伏して死ぬのを覚悟するか？ いやっダメだ、陽加をあのイカレ野郎に渡せない ずっと考えてるがまだ思い浮かばない。 奴との接点、J時代暗殺した人間に対するものか、 それとももっと前の桐原大翔だった頃か？ もしくは両親が関係してるとか？ ダメだきりがねぇな。やっぱ奴から聞き出すのが一番か ウィーン…ウィーン 俺のだな、でも知らない番号だな ホムラではないだろう、誰だ 「誰だ？」 《フフフッ初めましてかしらねダークナイト、 貴方は知らないだろうけど私はよく知ってるわよ》 コードネームを知ってるって事はコイツもJの可能性が高いな だが何者で何故連絡をしてきた？ 「そうか、ならまず名乗るのが礼儀ってもんだろ？Jか？」 《ブラッドリッパーと言えば分かるでしょ？》 間違いなさそうだがこの女は連絡役か？ 「アンタ東の連絡役か？違くてもどうせ仲間だろ？用件は何だ？」 《そう彼の連絡役のケイトよ、よろしく 化粧品から選んでもらったコードネーム》 関わりはないが噂は聞いたことはある、 情報分析等の専門家でそれなりに優秀なホムラよりも仕事が早く 俺以上の腕だとアイツ自身でさえ言ってた程だ。 「噂には聞いてるが、そのアンタが元J隊員とは言え辞めた俺に連絡するのはマズいんじゃないのか？他の隊員等の接触はしない掟だろ？」 《そうね、でもこれは上からも彼らからも許可されてる事よ、 貴方の元相棒のホムラがどうなったか気になってるんじゃない？》 やはり拘束されたのか… 「ホムラはどうした？そしてどうする気だ？」 《貴方質問ばかりね、まぁ当たり前ね。 彼は我々の規定に基づいて身柄を拘束してる。 今は尋問されてるわ、貴方にどこまで不必要な事を話したか等をね。 貴方なら分かるわよね？尋問の厳しさと最後どうなるかを》 「貴様！何が狙いだ？」 《ブラッドは貴方に復讐したがってるけど堂々と勝負して勝ちたいのが 望みなのよ。あと井上陽加をね。 で連絡した理由はこれよ、彼を狙ってるはブラッドだけじゃない》 なに？今更誰が陽加を？警察か？あるいは立花の残党が？ 思い当たらなくはないがな 「言われるまでもなくそんな事は承知してるし、陽加は俺が守る。 俺の経歴は当然知ってるよな？ アンタ達も含めて陽加に何かしたら俺もお前らを潰す」 《こっちは承知してるけど貴方は分かってないわ、だって狙ってるのは…》 《井上靖雄…だからよ》 何！ 井上靖雄って陽加の親父だがあの時死んだ筈だ 陽加も寝てるが寝室から俺は出た 「何言ってる、奴は死んだ俺の目の前でな。 殺ったのは俺じゃねぇがかつての教官が首を折ってな」 《でも遺体は確認してないし貴方は処分に立ち会ってないでしょ？ Jでも調査は行われたけど確実な証拠もなく遺体もどこか不明なままでその教官さん、滝って人でしょ？彼の所在も不明なのよ？》 「滝はそういう奴だ、自由気ままにいなくなる事はよくある男だ。 アンタ達は滝も絡んでると言いたいのか？」 《確信はしてないけど可能性はあるでしょ？ 殺害してから遺体を持ち去ったのも彼なんだから。 我々はずっと調査は続けてきた。 で最近中央町近辺の監視カメラで捉えたのよ。 顔認証や声紋でも一致していて彼は生存とJでは認定した。 彼も足がつかないように用心してたから我々でも気付けなかった。 だから今までJでも痕跡すら見つけれなかったのよ。 流石と言えば流石だけどね。 だけど妙な事に最近急に表に現れるようになったの。 東一家にも彼は邪魔な存在になるから注意深く彼を調査してたら、 どうも誰かを探してるみたいよ？ 息子の陽加かあるいは恨みのあるダークナイトか両方か》 奴が生きてるなんてあの時暗かったが目は慣れていて確かに折れる音もした のも確認した。 何か裏がありそうだがそもそもこの女こそ信用出来ないし、目的が謎だ。 「で仮に井上靖雄が生存してたとして何故俺に教えた？ こっちの心配はいらねぇし、アンタとは敵同士になるはずだろ？」 《装備もなくホムラやJの情報なしに一人で立ち向かえるのかしら？ 井上靖雄の生存も私が伝えなきゃ今も知らないままだったのに？ 私は上や命令に従って教えただけの事よ。 多分ブラッドや議員は井上靖雄は共通の敵だから陽加を奪われないようにする為にあえて伝えさせたんじゃない？父親に渡ったら 元CIA諜報員だし今度は息子を連れて国外に逃亡もあり得る、 でもブラッドや議員が阻止したがってる。 今は協力して倒して最後に貴方と勝負したいんでしょうねブラッドは。 貴方まだ信じてないようだし監視カメラと店との会話の声付き動画送ってあげるから確認してみなさい》 確かに生きてるなら一理あるがまだ信じきれねぇな、 俺を揺さぶろうとしてわざと仕組んだ話ともとれる。 「勿論見せてもらうが アンタらはつまりJは俺に抹殺しろって言いてぇのか？」 《そうよ、でももちろんブラッドや他の隊員全員に抹殺指令が出たけどでも貴方は辞めた身》 「そうだ、もう殺しはしねぇと決めたんだ」 《記録は読んだわ、貴方一度暗殺しようとした経験があるじゃない。 井上靖雄は並外れて訓練も実戦もかなり積んできた男よ。 Jの暗殺部隊でも倒せる保証はない相手。 でも貴方もJの元エースで対等に対決した。彼の技術を知ってる。 分かってるでしょ？綺麗事言ってる場合じゃないと。 陽加がまた狙われてるなら倒すしかない事くらい貴方なら分かるでしょ？ それから上層部からは貴方の復帰を求めてるわ》 Jに戻れだと？冗談じゃねぇ！これ以上あんな任務はやりたくない 「求めるだと？命令の間違いじゃねぇのか？ 難題をクリアして奴らが解放を許したんだ。 二度と復帰しない誓約までしたんぞ？ 陽加の親父がJのリストに入ったなら十分そっちで対処出来るだろう？」 《曖昧だったわね、松丸悠里に朝倉光希はこっちの支柱よ？ 溜まり場を崩壊させる事も出来るのを忘れないで、 勿論脅したくはないけど貴方なら抹殺出来ると上が判断した。 私は連絡役だけど貴方が従わないなら彼らは行動に移すし、 どこに逃げても無駄》 クソッ！Jは俺を戻す口実が欲しかった、そしてこうなった。 俺が陽加光希そして…悠里をまた巻き込んでしまった ホムラにも悪いことをした… 要はコイツを介して上層部は俺を復帰させて井上靖雄の暗殺… 東も面倒な任務は人任せか、如何にも上級国民の考え方だな 俺がイエスと言わないの分かって悠里達を人質にしてる… どこまで汚ねぇんだ。 「どこまでも腐ってるな、 分かった復帰はすると上に伝えろ。 但しホムラを拘束を解除して俺の連絡役に復帰させるのが条件だ。 あと東翔太との過去の繋がりも教えろ？」 《どちらも無理ね、今回は私が連絡役兼監視役の担当よ。 ホムラはいくつか規定違反をしてるし、解放条件は復帰する事よ。 繋がりも知ってるけど口止めされてるから本人から聞くのね》 この女も腹は立つが上層部や東一家寄りのメンバーだ。 従うしかないが、脅迫ネタさえ潰せればこっちのもんなんだが… それより今は陽加にはどう説明すればいい？ 「まぁいい分かった、 だが俺の任務は井上靖雄の件だけだ。 他の任務はやらねぇし、解決後までの一時的だいいな？」 《それは上が判断する、 でも確かに今出てる指示は井上靖雄の捜索及び動向の調査と抹殺。 井上陽加には復帰は伏せておいてほしいと、ブラッドリッパーの指示よ。 今から復帰として貴方はJの隊員、ダークナイトよ。 以上だけどとりあえずまた連絡するわ。 一つ情報教えると井上はあちこちで捜索してるみたいだけど中央町にも来てる事がある。 隙があればいつでも抹殺していいとの指示よ。 復帰を受けた事でホムラの扱いは多少良くなるわ。 かつての装備品は送っておく、 他に必要な物がればその都度渡すわ。 ではまた、ダークナイト大輝》プツン ケイトか、ホント気に入らねぇな… Jに復帰になっちまうとは、 陽加にも今隠してもいずれバレる。 とにかく井上靖雄の事は俺も調べてみるか、 あの時滝が殺った筈だが別人だったとかあるいは似てるだけなのか 滝とはあれ以来会ってない、溜まり場で確認するか そして東親子は本当に何を考えてるのか分かんねぇ ピロン 動画が来たので再生してみた 《お弁当温めますか？》 顔的には奴で間違いない、何故生きてる？ 理由は考えればいくらでもあるだろうが。 服も前と違って目立たない安めな奴で帽子を被ってカメラを多少は気にしてるようだ。 《いやいい》 声も合ってるな その後は普通のやり取りをしてささっと出て行った 奴は異常なまで陽加に執着してる。東翔太も同じだがな。 だが井上は東が俺にも参加させるほど邪魔な相手。 今最重要は井上靖雄から陽加を守り、そして…俺に出来るのか？ だが井上は俺を見つけたら間違いなく殺す気で襲ってくるだろう。 全く一体どうなってんだ…… とにかくまずは滝の行方と井上靖雄の調査だ。 陽加にはタイミングを見て… 「大輝…」 なっ！ 陽加起きてたのか？ 静かだし相手側の声も聞こえる マズいな…どこから聞いてたんだ？ 「いつから起きて…」 「全部最初から聞いてたよ…でも大輝の口から説明して…」 迂闊だった、ならもうごまかせねぇ…どのみち話さなきゃいけねぇんだ。 むしろ早くて良かった。 そうすれば対策はしやすいが問題は父親の事だ… 「分かった落ち着いて聞いてくれ」 俺もまだ不明な事は多いし混乱してるが一応知った範囲で陽加に話した