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翠とこんなことをするようになったのは、何ヶ月か前。
あの時、仁に挿れられることを想像しながら、俺は部屋で自慰をしていた。
翠と仁は学校で用があったらしく、先に帰ってきていた俺は、まだあいつらは帰って来ないだろうと、完全に油断していた。
だから、家に鳴り響く来訪者を知らせるチャイムに気付かなかった。それが悪かったんだ。
「·····っぁ········、い·····、っく·····、じん········ッ」
仁にされていることを想像しながら、宙に揺れている先っぽに留まった熱を発散しようと、股に這わせる手でぐちぐちと中の粘膜をかき混ぜていた時だった。
「ーーへえ。綾人くんって、オナニーする時 仁くんの名前呼びながらするんだ?」
自らの息づかいと粘膜の音に聞き慣れた声が重なって、静かな部屋に響いた。
体中の血の気が一気に引くと、焦りからおのずと呼吸が早くなってしまう。振り返らずとも、声で誰かは分かってしまった。
ーーある意味、一番見られてはいけない奴に見られてしまったかもしれない。
恐る恐る振り返ると、空いてる扉の隙間からこちらを覗き込む翠と、視線が重なった。
「す、い··········」
自慰をしていた形跡を隠す為に、あらわになっている股間を脱ぎ捨ててある衣類でとっさに覆い、はだけているシャツの前をバッと閉じるが、もはや手遅れだろう。
慌てて肌を隠す俺を見る翠は、扉を開けて中に入ると「今更隠されてもね」と、ふっと笑った。
「ーーっ·····!」
俺の目の前にまで来たと思えば屈んで顔を覗き込んでくる翠にぎょっとし、思わず後ずさりした。
だが、冷たく硬い壁の感触がトンっと背に伝わり、そのまま背後の壁に手を付かれると、翠と壁に挟まれた俺は完全に逃げ道をなくしてしまった。
「·····ねえ、綾人くん。仁くんに抱いてもらうのを想像して、一人でシてたの?」
「········っ、··················仁には、言わないで欲しい·······っ·····」
このことが仁に知られたら、仁には距離を置かれるかもしれない。優しい仁に拒否などされたら、きっと俺は立ち直ることができないだろう。
「ま、誰を好きかは自由だと思うよ?でもさーー」
目に涙を浮かべる俺を見ながら、翠は頭のてっぺんからつま先まで舐めるようにじいっと目線を動かした。
すると、びくっと肩が揺れる俺をお構い無しに、ゆっくりとこちらに手を伸ばしてくるのだ。
「仁くんをオカズにしてるのもびっくりだけど、綾人くんってこっちも使うんだね」
太ももの裏を掴まれてぐいっと押し広げられると、つい先ほどまで自分で弄っていた秘部がひくひくと震えた。
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