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「··········ぁ、」  ついばむように口付けられながら、気付けば体はベッドに沈められていた。唇から首へと滑る唇に甘く肌を吸われながら、流れるように服もあっという間に脱がされてしまう。 「·····ごめん、綾人くん。触りたい」  良い?とネクタイを緩め、こちらを熱っぽく見下ろす翠から目を逸らすことができなかった。  気恥ずかしくなり、咄嗟に体を腕で覆い隠してしまう。 「脱がせてからそれ言うかよ」  ふいっと顔を逸らすと、ギシッとベッドがきしんだ。胸を隠している腕を掴まれ、そのままベッドに押し付けられてしまう。  閉じていた足は翠の熱い手によって割り開かれ、間に太ももを差し込まれると、足を閉じることが叶わなくなってしまった。  翠には何度も体をさらけ出しているのに、思いを伝えたからだろうか。肌を見せるのが恥ずかしくて堪らなかった。 「あ·······、翠····、これ、やだ·····っ」 「綾人くん、見せてよ。ちゃんと足も開いて。全部俺に見せて」 「好きだよ、綾人くん。可愛い」  ちゅ、と耳に口付けられ、心臓がどくんと跳ねる。  初めて伝えられる翠の言葉に、徐々に瞼が熱くなっていった。  次第に流れ落ちる雫がシーツを濡らすと、覆い被さってくる翠に瞼にも触れるだけの口付けをされる。 「·····ね、綾人くん。仁くんにどこ触られたの?」  耳元で低く響く声に、背筋がぞくぞくと震えてしまう。翠には、仁に触られているところを見られている。誤魔化しの効かないこの状況に、素直に唇と下腹部を手でなぞり、目線をちらっと翠へ向けた。  すると、翠の表情が次第に曇っていくのが分かった。まずいと思った時にはもう、遅かった。未だ俺の手首を掴んでいる手には力が入り、陰りのある瞳で俺の目を覗き込んでくる。 「綾人くん、無防備すぎ。さっきだって仁くんに触られてたよね」 「しかもなに、キスされたの?」  ムカつく、と呟くと同時、噛みつかれるかのように唇を塞がれる。閉じている唇を割って入ってくる舌に、舌先をくすぐられた。 「ーーっん··········、ふ··········、ぅ··········っ」  喉奥にある付け根までたやすく捉えられると、粘膜ごと絡めとられてしまう。  ぐちぐちと乱雑に絡まる舌に、脳がとろけてしまいそうだった。 「っは、··········ぁ、··········んん·····っ」  ーー息が、できない。  翠の息に脳を埋め尽くされていくようで、頭がぼうっとしてくる。  頭には酸素が回らず、目には涙が溜まっていった。

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