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Classmate 1

「席も前と後ろだね。」 ニコニコ微笑みながら後ろを振り返る三島…… 「……出席番号からしてそうだろうな。なんでそんなに嬉しそうなんだよ……」 「だって、森下、今まで全く接点なかったし、このクラスになって初めて出来た友達だし?なんかすごく仲良くなれそうな気がした。」 「なんだそりゃ……」 クラスメイトと仲良くするのはいいとして、これまでの友達関係だって出来上がってるだろうと思うのだが、仲が良いとクラスを離される。 理由としては固定の友達だけとつるむことよりも社交性を培うこと、授業中でも喋りだし騒がせないこと。盛り上がると授業そっちのけで話すのが学生だ。さすがに3年生ともなると進路を本格的に決めなければならない。授業中騒ぐことも減るとは思うのだが、毎年クラス替えは恒例のように行われた。 一学期の初めこそ誰かのクラスに集まって話をしたり廊下へ出たりしているクラスメイトも多いが、三島にはその気配がなかった。ダチとつるんでる時に様子を伺ってみると、三島のところに来るヤツは口説きに来ているようだった。 ――暇人だな…… 1つ見落としてはいけないのは、ここは男子校だ。性的マイノリティーをとやかく言うつもりはないが、本人が断ってるのにしつこく通うのはどうかと思う。しかも曜日、時間、は協定の中で決まってるようで、入れ代わり立ち代わりよくもまぁ飽きもせずに通ってくると呆れる。 「なぁ、ここんとこずっと見てたけど、休み時間ごとに分単位で来るアイツら何?」 「……一過性のものだと思うんだけど、ほら、男子校でしょ?感覚がバグってる人達」 「三島にもバグってるってわかってんの?まぁ、通ってきてんの、自宅組じゃなくて寮生組だろ。娯楽がないにも程があるな。」 自宅から通えない範囲からの通学希望者が入る寮がある。バス、電車の本数が極端に少ない上に交通の便は不便という土地柄しょうがないのだろうが、都会ならそんなこともないだろうが、片田舎の進学校であるにも関わらずこんな設備の学校だと苦労する。 それでも何故、こんなところに通ってきてるのかといえば、県内では有数の進学校だからだ。 森下は自転車通学だが、三島は聞くところによると寮を出てアパートに暮らしてるらしい。 理由は身の危険だ。ため息しか出ない。 「夜這いなんてされたら学校が困るからって、お風呂もジロジロ見られて、触られるからって。寮費に足りない分は学校から補助があるんだ。それだけは助かってる。」 「……んで、ひとつ思ったんだけど、お前はノーマル?それとも男好きな方?」 「……一応、普通だと思ってるけど、付き合ったことある人いないし……一応、中学までは共学だったから、女の子もいたし、可愛いとは思ったよ?ただ、俺、友達止まりなんだよね。」 それはわかる気がした。女子からしたって、自分より可愛い顔した男がいたら恋愛には行かないだろう。中高生の女なんて年下と付き合うことも少ないだろう。大人に憧れながらも自分自身が大人と子供の狭間にいるのだから、頼りがいのある男の方へ行くのだと思う。 「……もし俺が女だったとしても三島とは付き合わねぇな」 「どういう意味?!」 なんでそこで声高に聞き返されるのか、という疑問しか湧いてこなかった。そんな当たり前でしかない答えをそのまま返してやるのだった。

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