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Classmate 2

半分泣きそうな顔をして尋ねて来るその表情に背筋をゾクッとさせるものを感じる。感じたことの無い感覚に少し戸惑う。 「三島の女装を見たことがないからはっきりとは言えないけど、その女装がその辺の女より可愛かったと想定するだろ?自分より可愛い男連れて歩きたい女がいると思うか?」 三島は少し考える仕草を見せる。 「……女の子はみんな俺より可愛いと思うんだけどなぁ」 「お前の主観はどうでもいいんだよ。世の中の一般論を言ってるだけだ。机の上見たってお前どれだけ乙女なんだよ。キャラクターものばっかりじゃん。そりゃ、女だってお友達感覚にもなるだろ。中学の頃とか気に入ったもの同士を交換とかしてそうだしな。」 「なんで知ってんの?!」 「……マジでしてたのかよ……」 さすがにそこは引いた。が、そんなことにも三島は嬉しそうに森下の文房具を見て 「……うーん、そっか。森下はシンプルなのが好きなのか……モノトーンっていうのもオシャレだね。森下と一緒にいると発見がたくさんありそうでなんだか楽しみだな。大学は決めてるの?文系?理系?芸術系?体育系?」 「……とりあえずは文系……それが何?」 「うん、一緒!!大学も同じ大学の同じ学部に行けたら良いなって思って。」 「はぁ?自分の進路だろ?大学は自分のやりたいことをしに行けよ。他人に合わせるのは良くねぇし、後悔するぞ?」 「……うん、でも、せめて同じ大学目指せたらいいな……って思う。だって森下は普通に俺に接してくれるし、男らしいとこ見習いたい」 「無駄にデケェって言いたいのか?」 細身ではないが太っている訳でもない。身長は160あるかないかの三島に比べれば178cmの森下は大きく見えるのだろう。背丈で並べば後ろから数えた方が早い森下と、先頭に立つであろう三島とはそれだけで全然違う。 一人称はどちらも『俺』だが、優しい口調の三島に、口の悪い森下。それでも姉と兄がいる末っ子だ。 「三島、兄弟は?」 「……今は一人っ子。10歳上に兄さんがいたけど、5年前に死んじゃった。俺のせい……なんだけどね。俺を庇って死んじゃった……」 「……悪い……不必要なこと言わせたな。知らなかったとはいえ、ごめん……」 「ううん、過去のことは変えられないから……森下のとこは?」 「姉ちゃんと兄貴がいて俺は末っ子。だから俺は結構自由人よ。両親共働きだから、姉ちゃんが母さんみたいでおっかねぇの。 実際、姉ちゃんが家事全般やってっから誰も文句も言えねぇし、兄貴も働いてっからあまり家にはいないし、これでも感謝はしてる。 今度姉ちゃんの飯食いに来るか? どうせ自炊だろ? ダチ連れてくと姉ちゃん喜ぶからさ、お世辞でいいから美味しいって言っておけば機嫌も良くなる。不味いものは今のところ食べたことねぇから、たぶん大丈夫だ」 たぶん、というのは人それぞれ好みが違うし、各家庭の味もあるからだ。ただ、森下家では姉の味を再現出来る人はいない。 母は料理下手だったし、母の料理なら誘えない。だが姉の料理なら大丈夫だと思って何気なく誘った一言だった。

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