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Classmate 7

それぞれが風呂に入って、先に入らせてもらった悠斗は自分の部屋に友達用の布団を敷く。 学校の友人が泊まる時に最近は使っていたが、元々は真琴が泊まる時ように、と悠斗の部屋にあるものだ。真琴の両親も共働きで、小さい頃から兄弟のように育ってきた。早朝に出て、深夜に帰宅、その逆だったりと、彼の両親も二人が揃うことが少なかった為、この部屋に寝泊まりすることが多かった。 真琴の母親は日本にいる。父親の転勤に真琴はついて行った。それぞれ別の会社で働いてる両親はそれぞれ役職についているから、真琴の母親は簡単にその転勤について行くことは出来なかった。真琴は『外国語に触れるいい機会だし、交換留学の話も来てたんだよな。場所も同じだから受けてくるわ。母さんも単身赴任になるっぽいから帰国したら悠斗んとこ行ってもいいかな?』そんなことを言ってた気がする。 出国前にした約束がある。本気かどうかはわからない。真琴は有言実行タイプではある。いつ帰ってくるのかも分からないのに、約束をするのも変な話だ。真琴が海外に行ってから、一切の連絡を絶っている。その約束の為だ。 本棚から1冊のアルバムを引っ張り出す。パラパラとめくっていると、兄弟の写真や真琴も写ってる写真が出てくる。ベッドに腰かけながらパラパラとめくるアルバムには思い出が詰め込まれていた。何年も見ていなかった。 今日、話が出なかったらめくることもなかっただろう。どうせ、三島の前であれだけ真琴の話をしてしまったのだから、どんな人物が、気にしているようだったし、とりあえず写真だけでも見せとくか、くらいの感覚だ。 子供の頃の千佳と悠斗は本当によく似ていた。真ん中の兄だけ全く違う顔をしているが、両親のどちらに似てる、と言えないのが兄だ。双方の顔のパーツが混ざった顔をしていた。 千佳と悠斗はどちらかと言えば父親似の顔をしている。父と母のハイブリッドか兄の顔だろうと思う。懐かしんでいると、伊織が用意した服で入ってきた。 悠斗には小さいが、伊織には大きいようだ。実の所、悠斗の服ではない。真琴が泊まる時に着てる服だ。中学卒業時の真琴より、伊織は小さいのか、と思うと吹き出して笑ってしまった。 「そんなに笑う?体型が違うんだから、合わないの当たり前じゃん。」 「それ以前の問題。それ、俺の服じゃねぇもん。さっき話に出てただろ?真琴のだよ。さすがに俺との身長差で俺の服貸したら全部抜けてつっかえる場所がなくて全部落ちそうだもんな」 クックックッ、と笑いが止まらなくなってしまっている悠斗の横に拗ねた表情で座ると、膝の上に乗せていた悠斗の手の中にあるアルバムに興味を示していた。 「さっき、ごめんな?仲間はずれみたいな話になっちまって。姉ちゃんさ、家でオンラインで親の仕事手伝いながら家事やってて、であまり家から出ないから出逢いとは無縁なんだよな。 姉ちゃんどうか、って言ったやつ、さっきのあれは冗談だから。初対面で決められるわけねぇし、2人で早々に推薦取れたら、うちにまた、食事に来ればいいよ。姉ちゃん喜ぶし、アパートで1人もつまんねぇだろ? そのうち会うだろうから真琴を教えておくよ」 そう言って膝の上のアルバムを開いた。

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