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Sleep With 1
翌日、悠斗は何ごともなかったかのように朝起きて体調を崩した伊織をそのまま部屋に寝かせながら、世話をして土日を過していた。
千佳はお粥を作り、悠斗は食べさせて水分取らせて、氷枕を確認しては冷やしてくれた。だるい躰に少し高い熱を出したことによって、ほとんどの時間を眠って過ごすことになってしまった。時々、目を覚ますと悠斗は特に物音を立てることなく、机に向かっていたり、ベッドに座って本を読んでいたり、部屋を空けてることがほとんどなかった。
トイレと言えば抱えて連れて行ってくれて、外で待っていてまた抱えるように戻ってくたり、汗をかけば躰を拭いてくれて着替えもしてくれた。下着も躊躇なく替える。最初の着替えの時は後孔を確認していたが、軽くクリーム状の薬を塗っただけで、それ以降は見られても触れられてもいない。
横たえる時には、すごく丁寧に布団に寝かしつけてくれた。熱取りシートの貼り替えの時に前髪をあげる際に撫でられる頭が気持ちよく、本当に自分が女で悠斗が彼氏であるなら、頭を撫でられることに安心感を与えてくれるんじゃないか、と錯覚しそうになる。
でも、いつか、この手は他の誰かの頭を撫でるのだろう。女も男も誘われれば断らない、と言っていた。将来的には誰かに一筋になって、子供の頭を撫でながら、病気の時にはこうやってつきっきりで看病してくれるような優しい父親になっていくのだろう、と思う。
そのまま指先が頬を滑り首筋触れると、手のひらで首の体温を確認しながら、その手が離れるスレスレまで指が首筋をくすぐっているように触れて離れていく。その指の触れ方にゾクリと背筋を走る気持ちよさを感じる。
「まだ熱いな……喉乾いてないか?」
「……少し」
強引に起こすことなく、目を開けた時に飲食を促してくれる。部屋にある小さな冷蔵庫から冷えたスポーツドリンクを取り出して蓋を開けて渡される。ベッドを背もたれに座らさせた状態でペットボトルを持ち上げようとするけれど、上手く手が上がらない。背中を支えられながら、悠斗がペットボトルを傾けてくれる。少しずつ喉へ流し込むと、そこ冷たさが内側から熱を冷ましてくれる。絶妙なタイミングで傾けてくれて、すごく飲みやすかった。
その動きは慣れている、と感じられるほどだったが、介護されるような人物はこの家にはいない。両親と姉弟は住んでいるが、祖父母は別に住んでいる。
寝込んでいて思ったのは、最初の夜に気がついた物音が全くしない。悠斗の部屋は驚くほど無駄な音がしなかった。そしてあとから気づいた。悠斗の部屋のドアは2重扉になっていた。内側の扉はリモコン操作ができる、防音の部屋になっていた。理由は部屋の隅に立てかけてある楽器にあるのだろう。ケースの形状からしてギターかベース、それにキーボード。
最初こそ、声をおさえていたが、途中から記憶が曖昧だ。ただ、言うことは酷く意地悪で、男に組み敷かれるという屈辱的なことをされてるのに、触れる口唇や指は絶妙なバランスで快感を引き出していった。
賭けをした時に、あっという間に実質4回目の絶頂を経験してから、甘やかすような躰中への愛撫に散々啼かされた。もう何も出ない状態なのに、最後はまた後孔でイッた気がする、
悠斗の指にめちゃくちゃ泣かされた。痛かったのは最初に指を挿入れられた時だけで、指が馴染めば馴染むほど前後不覚になって、あとは気持ちいい、という気持ちしか残っていない。
いま思い出しても腰の奥が疼き出しそうなくらい、生々しく感覚が残っている。けれど……
――きっとすぐに忘れる。
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