12 / 23
第12話
次の日スイは学校を休んだ。
とても起きれる状態じゃなかったからだ。
それから数日、幼なじみは学校にも来なかった。
スイの周りに家来はいたからスイは相変わらず暴君だった。
彼らはスイの言うことに従ったけれど、彼らが恐れているのは幼なじみだとわかってた。
腹いせに傲慢に振る舞い、ワガママを楽しんだけれど、それすらどこか虚しくなっていた。
何より、彼らはスイを監視してるのがわかったからだ。
スイの隣りに居なくても幼なじみはスイを支配していた。
でも。
スイは久しぶりに息が出来る気がした。
ずっとずっと。
幼なじみがいたからだ。
あんな風に変貌する前からもそうだったけれど、夜支配されるようになってからは、昼どんなに傲慢に振舞おうと、それでも縛られていることには変わらないとわかってしまって。
スイはもっと息がしたくて。
家来達からもにげたくなった。
だけど、彼らは家の前までついてくるし、なんならそこで交代で家の前に立ってる。
同じ学生をここまで支配できる、幼なじみが怖くなった。
どうしてあんな恐ろしい男を傍に置いていたのか。
考えてもわからない。
私立の幼稚園から一緒で。
スイの隣りにずっといて、スイをワガママ放題をなんでもきいてくれていた。
いつからスイを狙ってたのか。
「もう男でもかまわないと思った」と言ってた。
スイを抱かないために男や女を抱いてきたとも。
小学生の頃にはみんなスイが決めたことに従わないと、幼なじみに色んな方法で「思い知らされる」ことを皆が知ってた。
親や教師にバレることはなかった。
一度だって。
明らかに幼なじみの仕業なのに、その姿を確かに見たものもいるのに、幼なじみにはいつも完璧なアリバイがあった。
そんな小学生有り得ない。
スイは自分の隣りに居たものに恐怖を感じた。
幼なじみは。
何なのか。
何にこの身体を弄られ喘がさせられているのか。
自分に執着しているアイツは何なのか。
幼なじみがいないからやっと冷静になり、それが更に恐怖となった。
だが、スイが本当に怖くなったのは、幼なじみに犯されて以来、初めて幼なじみから離れた夜だった。
ともだちにシェアしよう!