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第18話
「早く挿れて、めちゃくちゃに突いて、ぐちゃぐちゃにして。コンドームは着けてね」
スイは命令した。
スイは自分でズボンを下ろし、下着も下ろして尻を突き出し壁に手をつく。
後ろで、スイの微かに浮かびあがる白い尻に男が息を飲んだのがわかる。
早くして欲しかった。
女の穴が濡れている。
ここに気づかれたくはない。
男がベルトを外し、ファスナーを下ろす音がした、
焦る様子にスイは笑う。
そう。
こんな風にスイが主導権を取るべきなのだ。
こうでないと。
「早くして」
スイは傲慢に言い放つ。
命じて、使って、感じて、また、使う。
これこそ、スイの望んでいるセックスなのだと思った。
女の穴など要らない。
そう決めて。
そしてまた命じるために振り返ったとき、スイの目の前で男は倒れた。
男に影が覆いかぶさり、顔を腹を至るところを殴る。
殴られていた。
倒れても何度も。
鼻から口から血を吹き出す。
スイは悲鳴をあげたけれど、ここはセックスで有名な場所なので誰もわざわざ声がしたくらいでは気にしないだろう。
男は下半身を剥き出しにしたまま、血まみれになり動かなくなった。
スイはガチガチと震えた。
スイは幼なじみに暴力を振るわせたこともある。
気に入らないからやっつけろ、と、
でも。
スイは暴力を目の前にしたことは一度もなかったのだ。
スイは暴力の意味を知る。
そして影はゆっくり立ち上がり、スイに近寄ってきた。
スイは悲鳴を上げるが、そう、誰も気にしない。
激しいセックスしているくらいにしか思わないだろう。
外から差し込むネオンの光に照らされて、返り血を浴びて立っているのは。
幼なじみだった。
スイの恐怖は限界に達した。
またスイは悲鳴をあげた。
誰にも届かないとわかっているのに。
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