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第4話

チリーン……――。チリーン……――。 風鈴の音がまた聞こえる。暖かい風が肌を優しく包み込み。その風は風鈴の短冊を靡かせ、楽しそうに歌わせる。 「あっ……はぁっ……」  それは凄く居心地が良くて、気持ち良くて。ずっとそこに居たくなる。オレはうとうととまどろみながらその感覚を味わう。 「ぁ、ンっ……」  掌にドロっとした感覚。それは手にべったりとこびり付き、真っ赤に染まっている。 「ひぃっ!」  飛び上がったオレの太ももはヌルッとしていて、目の前には穂積の顔。離れて寝ていた筈なのに。  チリーン……――。チリーン……――。  オレは寝ぼけて穂積の布団に入り込みオナニーしてた?そう思ったらゾクンッと肌が粟立ちザラりと感覚が背中を這う。  チリーン……――。チリーン……――。  風鈴の音がなぜ、背後で聞こえるんだろう。 「良樹……――。良樹……――」  なぜ、耳元で聞こえるんだろう。 「なんで……?」 「良樹……――。良樹……――」 「どうして……?」  オレの名前を呼ぶの?オレはいつその名前を知ったの? 「まさみ、さん……」  振り返った先には、確かに男性がオレにしなだれかかる様に立っている。 「やっと、ボクの名前を呼んでくれたね」  風鈴の音のような、涼やかな声音。その声が聞こえた瞬間、ドクンッと心臓が脈打ち目の前が真っ赤に染まる。 「かはっ……ぐっ、ごほっ……」  バシャバシャと体内から吐瀉物がこぼれ落ちる。 「ゔっ……げほっ……」  内臓が焼けるように熱くて痛い。吐き気がとまらない。 「あっ、ぐっ……」 「良樹?良樹……――。良樹……――」  頭が割れそうに痛い。内臓がすべて出てしまいそうなほど苦しい。

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