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第2話
雨音だけが、静かに二人の間へ落ちていた。
見透かされたような気味悪さに、染は小さく舌打ちを零す。
「……何が言いたい」
低く睨みつける。
だが、莉珠はすぐには答えなかった。
ただ、こちらを覗き込むように目を細めていた。
「それは僕の口から説明した方がいい感じ?」
莉珠の声は軽いまま、しかしその目だけは笑っていなかった。
染は答えない。ただ、視線だけで続きを促す。
雨音がやけに大きく感じる。
「僕たち、影祓の仕事は【Reaper】つまり君達を殺すこと」
莉珠は少し首を傾ける。
「影祓はReaperのために作られた組織だからね。けど、僕が調べた感じ殺られてるのは全員、極悪人ばっかなんだよね〜」
その言葉が雨に溶けるようだった。
「……仮にそうだとしたら、なんだ」
莉珠はその言葉に不気味な笑みを見せ、一歩。
また一歩と近付く。
「だとしたら僕達が君達を殺す理由がない」
莉珠の言葉が、雨の中でやけに軽く響く。
「……は?」
短い声。それだけで十分だった。
莉珠は、染の反応を楽しんでいるようだった。
「だって僕たち、もう何百年も〝敵〟として戦ってきたじゃない。僕の推理が正しければこの〝戦争〟を終わらせることだって可能だよ?」
その言葉に、呼吸がほんの僅かに乱れる。
一瞬だけ思考が止まる。
「……くだらない」
低く吐き捨てた、その瞬間だった。
莉珠の気配が、静かに消えたように錯覚する。
次の瞬間。耳元にふっと影が落ちた。
「ねえ」
吐息と声が、ほとんど同時に触れる。
振り返れば、ぶつかりそうな距離。
「僕が怖いの?」
その声は妙に静かだった。
悲しんでいるようにも、からかっているようにも聞こえる。
どちらにも寄らない曖昧さが、余計に気味悪く感じる。
莉珠は死体に視線を落とす。
「こいつにはそんな顔、見せなかったのに」
その言葉は、妙に低かった。
さっきまでの軽さがまるで、嘘みたいに。
代わりに滲んでいるのは、はっきりとした〝棘〟だった。
染の眉がわずかに動く。
――怒り。
莉珠はゆっくりと顔をあげる。
「まあ、今はいいや」
スっと、軽い空気へと戻る。
「で、話に戻るけど僕の推理は合ってた?もし僕の推理が正解なら、君達【Reaper】もただの人殺しじゃないってことになるんだけど」
その瞬間、莉珠が一歩踏み込む。
こちらが反応するより先に、顎を掴まれる。
見上げられてるはずなのに、まるで上からこちらを測っているようだった。
「ねえ」
耳に残るみたいに静かで、不快だ。
「市民はみーんな僕達のことを正義のヒーローと呼ぶでしょ?そして、君達のことを〝悪〟だと」
指先は軽いはずなのに、振り払えない。
「でもさ」
逃げようと思えば逃げれる距離。
「被害者にとっては〝Reaper〟が正義のヒーローだよね」
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