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12.※貞操具、前戯
好き、好き。きもちいい。
そうしてくると、下半身の、一番敏感な部分が反応を示してくる。のだが。
「い、いた⋯⋯! ま、まって、あお、い君⋯⋯!」
碧衣の浴衣に何とかしがみつき、どうにか訴えていると、気づいてくれたらしい碧衣が、乳首から口を離し、「どうした」と訊いてくる。
「碧衣君が、そうしてくれるの⋯⋯嬉しいのだけど⋯⋯あそこが痛いの」
「あそこ⋯⋯あぁ」
葵人が何を言っているのか分かった碧衣は、瞬間、浴衣越しに膨らんでいるはずの部分をわざとぎゅっと掴む。
しかし、その部分は固い物に覆われている。そのせいで、それが返ってもどかしく、膝を擦り合わせてしまった。
「なんだ、トイレか?」
「ち、違うもんっ! 分かっているくせに、いじわるしないで⋯⋯!」
「とか言って、本当はそういう痛いのが好きなんだろう?」
「⋯⋯っ!」
不意に耳元で囁かれ、声にもならない声を上げていた。
兄に『お仕置き』をされる際、全身を縄で縛られたり、時には宙吊りされたり、そして、四六時中後ろの萎みには、兄のモノを模したバイブを挿入され、拡張を兼ねて調教されていた。
それと今と同じく、前は射精管理もされて。
最初は痛くて痛くて何度も懇願したことがあったが、それで兄が許してくれるわけでもないし、そう言えば言うほど、もっと痛くされたのもあって、来る痛みに耐えていた。
それから解放された後の兄の手によって射精されることが、いつしかそれが快感を覚えてしまい、限界まで痛みを与えられるのが好きな身体になってしまっていた。
それを碧衣までも知られてしまっているだなんて。
発情している時は知らないが、雰囲気でそういう流れになった時も、恐らく、イイところを責めてくるのでそれで葵人がそういう身体だと知られてしまった、のかもしれない。
なにはともあれ、改めて、しかも耳元に直接言われるのは、恥ずかしいうえこの上ない。
「ココは、お前が粗相をしてせっかくの綺麗な浴衣が汚れちまうから、外してやんねぇ」
「そ、そんな⋯⋯ぁ⋯⋯あっん!」
にやりと悪巧みな顔の碧衣の指が、葵人の下の口に挿れてくる。
兄の時に開発されたのと、それを上書きするかのように頻繁に弄られたのもあって、今ではすっかり緩くなり、指一本はすんなり飲み込んでしまう。
全て挿れていると思っていた指は、中で折り曲げ、その指の腹である一点を擦りつける。
「やぁん! いや、いやだ! そこ、いやっ! へん、に⋯⋯っ! きもちいっ!」
「葵人。そんなに喘いでいると、誰かに聞こえるぞ?」
「でもっ! でも、⋯⋯うんぅ!」
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