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第51話 さわりたい

直哉さんは首元に顔を寄せたり背中を触ってきたり積極的だ。よかった。まったく嫌な様子はなさそうだ。だけど、よゆうなのは腹立つ。それに、俺が襲う側なのだこのままではいけない、と思い切って乳首を舌先でなめてみる。ふっと声が聞こえた。こしょばいらしい。 「こしょばいんだったら素質あるかもしれないです。たぶん気持ちよくなれます」 「男でも?」 「そんなかわんないです」  吸い付いていると、直哉さんの手がすっと俺の腹の方に入れられてなでられる。 「んっ」  乾燥した指先の滑りがいい。下腹のあたりを撫でられると自然と足がひらく。下生えまできた手がそこを爪でざりざりとなでている。もうちょっと、と思っていたら手が引かれしまう。嫌になったんだろうかとよぎった。 「さわっても?」 声をかけられて上を見ると、笑いかけられたのでうなづいた。直哉さんの手が俺のに伸びる。 「きもちわるくないですか?」 「とくには、知花君はどうされるのが気持ちいい?」 「どうされても気持ちいい」  感情がふりきれすぎててよくわからない。過去にこんなにも丁寧にに奉仕されたことなんてない。  大きな手で握られてそれだけで、背筋がのびるほど気持ちいい。ぐっと目をつむってしまうと目にキスをされてそのまま口にもキスがふってくる。  舌をいれられ、そこからじゅっとすわれて。くぐもった声が漏れる。 「あっ、ん、ちょっと、まって、俺もします」 「いいよ、どうせ、たたないんだから、俺がかわいがらせてよ」 「だって、俺もさわりたい」  直哉さんを押し倒して上に乗ったけど、直哉さんはされるがままで、だけど、手の愛撫はとまらない。先をこすってみたり、強弱をつけてしごかれたりして気持ちがいい。  俺もと直哉さんのを握ってみるけど、あまり反応は良くない。 「やっぱだめですか?」 「うーーん、でも、きもちいいは、きもちいいよ?」 直哉さんは優しい顔で首元にキスしてくれる。 「ちょっと待って」  俺は体制をずらして口を寄せた。口でほうばってみたけど、やっぱり、たちそうにない。ただその間、頭をなでられてそれが気持ちよくてしばらくなめてみた。そしたら俺の方が興奮してしまっている。 「わかいね。俺も口でしようか?」 思わず直哉さんの口を見てしまう。恐れ多い。ノンケに口でしてもらったことなんてない。 「いや、でも、……おねがいしてもいいですか?」 恐れ多いけど、直哉さんにはお願いできる。甘えられる。直哉さんは躊躇せず口に含んでくれた。口の中が大きいから舌で上あごに擦り付けるように圧迫される。  えづらがヤバいけど、しっかり見てしまう。そういえば、最初の頃、グラタンをあーんで食べた直哉さんでぬいたこととかを唐突に思い出したりした。混乱の仲、目が合うと直哉さんは微笑んでくれて。 「やばい!」 言葉と一緒に暴発した。直哉さんはびっくりしたようだけど、すぐに口から出さずに、ゆっくり俺のをきれいにするみたいに唇をしめてぬく。そしてその口には何も残ってない。 「うわっ、飲みました!? なんで、まずいでしょ」 「どうすればいいかわからなかったし、出されるの嫌かなって? まずいけど別に」  やっぱり味音痴というか味覚が鈍い人なのかもしれない。

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