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暑中お見舞い申し上げます③

 そこからは病棟でのカンファレンスも、ずっと成宮先生の隣にいたし、昼食も社員食堂で肩を並べて冷やし中華をすすった。 「やっぱり暑い……」 「な?」  午後の回診が終わった後、ベンチに座って炭酸飲料を回し飲みする。 「なんでこんなに暑いんだろう……」  外からは元気よく鳴く蝉の大合唱が聞こえてくる。その声が更に暑さを助長した。 「そんなにくっついてるから暑いんじゃない?」 「へ?」 「成宮と水瀬君、朝からずっとベッタリじゃん?今だって、こんなにベンチが広いんだから離れて座ればいいじゃないの?」  グッタリしている俺達を見て、成宮先生の同期である橘先生が呆れたように笑っている。 「うっせぇなぁ。ベッタリなんかじゃねぇし」 「はいはい。成宮が水瀬君から離れられないんだね」 「はぁ?黙れ。あっち行けよ」  悪態をつきながら、俺の肩にコツンと頭を乗せてくる。 「別にくっついてねぇじゃん」  全くその通りだ、と俺も思う。なんで橘先生はそんなことを言うんだろう……と不思議でならない。 「無意識、なんだね……」  クスクス笑う橘先生を首を傾げながら見送った。    今日も1日終わった……。時計を見れば19時。まだ早く帰れるほうだ。 「帰るぞ、葵」 「はい」  重たい体を引きずってエレベーターへと向かった。  

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