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腐れ縁でも愛しい人③

「はい、はい。そうなんですね?わかりました。素晴らしい対応してくださってありがとうございます。また何かありましたら、いつでも連絡しきてくださいね。はい、では失礼致します」  通話が終わった瞬間、先程までのブルースカイに一気に黒雲が立ち込め、雷鳴が轟き始める。今にも嵐が来そうな予感だ。  成宮先生は、手に持っていたスマホを絨毯の上に放り投げた。 「次に電話してきたら、ぶっ(ピー)す」 「ひぃ……」  恐怖で体を縮こまらせる俺の腰に腕を回し、再び駄々っ子モードに突入してしまった。 「やりてぇ……」 「はい?」 「葵にくっついてたら、ヤリたくなった」 「い、今までの流れのどこに、その要素が……?」 「だって、お前の全てがエロいから」 「ごめんなさい、意味わかんない」  成宮先生は意味不明な理屈を並べたてて、俺の腰にギュッと抱きついてくる。  その言動全てがめちゃくちゃなのに、それを咎めようという気持ちにもならない。だって、成宮千歳という男は、そういう人間なのだ。  俺のシャツの中にシレッと手を忍ばせ、当然のように厭らしい手つきで体を撫でまわし始める。そのままキュッと乳首を摘ままれれば、俺の体がピクンと跳ねた。 「あぅッ!ちょっと……千歳さん……俺、この資料、今日中に作らないと……あ、あッ」 「何でだよ、後でいいだろう?」  意地の悪い笑みを浮かべた成宮先生が突然体を起こし、俺の首筋をペロッと舐め上げた。 「あぁ!首……駄目ぇ……」 「駄目じゃないだろう?」 「はぁ、あ、あぅ……」  両方の乳首をコリコリと指先で虐められれば、俺の吐息がどんどん甘くなっていくのを感じた。  俺の困った顔が大好きな成宮先生は、ニコニコとご満悦そうだ。 「あ、あぁッ。ちくしょう……」  俺は、ギュッと唇を噛みしてから、力任せに成宮先生の体を突き放した。

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