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野良猫みたいな恋⑭
恋人の過去は絶対気になる。
昔付き合ってた人はどんな人なんだろうか、とか……何人くらいの人と付き合ってたのか……とか。それで、勝手に色々想像してヤキモチを妬いて……。
でも、そんな事を言われたって恋人は困ってしまうだろう。だって過去はどうやっても変えられない。どんなに今の恋人を愛していても、過去を塗り替えることは絶対に不可能だから。
「そんなんわかってる」
どんなに自分に言い聞かせても、納得しろと言い聞かせても、ヤキモチは止まらない。
むしろ、どんどん餅は焦げていってチリチリの灰になってしまいそうだ。もう苦しくて切なくて……一層の事別れてしまおうかとさえ考える。そんな勇気があるはずないのに。
橘先生が、リネン庫がしけこむにはいいって言っていた。成宮先生が興奮するからって……そんなことは気にしなければいいのに、ついリネン庫を見て見たくてそっと覗いてみる。
考えてみれば、俺も時々ここに連れて来られたっけ。今思えば、昔橘先生とイチャイチャしていた場所に連れ込まれていたとは、夢にも思っていなかった。
「あぁ……もう俺最悪……」
頭を抱えて薄暗いリネン庫の中に蹲る。
泣いたら楽になれるのかな……なんて思うけど、涙すら出てこない。頭の中を成宮先生と橘先生が楽しそうに話している姿が思い浮かぶ。
最近は、橘先生が成宮先生に寄りかかって見たり、甘えた声を出してみたり。また少し2人の距離が近くなった気がする。
そんな橘先生を拒絶するわけでもなく放っておいてるあたり、成宮先生からしてもそんなスキンシップが2人の中で当たり前なのかもしれない。
大体、同じ病棟に今彼と元カレがいるなんて……こういうのを『修羅場』って言うんだと思う。
「そもそも、成宮先生と橘先生って付き合ってたんかな……」
それさえも疑問だ。一体誰に聞いたらいいんだろうか。
直接聞くのは怖いし、橘先生に聞くのなんて恐ろし過ぎて考えたくもない。
それとも、成宮先生と昔から仲のいい佐久間先生や西田先生に聞いてみようか……。色々考えてもみたけど、結局いいアイディアも出ずにまた1日が終わって行った。
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