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名前を呼んで・・・②
「葵、もう我慢できない?」
「はい……」
「挿れて欲しい?」
「はい。お願い、挿れて……」
甘ったるい声を出す自分に嫌気がさしながらも、もはや俺は成宮先生の猫に成り下がってしまった。飼い主を喜ばす為に卑猥に腰をくねららせて、甘い声で鳴く。もう、これじゃ俺まで発情期の猫だ……。
その瞬間、俺の後孔を虐めていた指がチュルンと引き抜かれた。
「葵、これが欲しいの?」
トロトロに蕩けて、ヒクヒクと物欲しそうにひきついているそこに、成宮先生の熱い昂りが押し当てられる。
「あぁッ!欲しッ……欲しいです……」
「ふーん……」
ヌルヌルと甘い蜜を垂らす成宮先生自身は、俺の中に埋め込まれるわけではなく、入口をユルユルと擦り続けている。そのもどかしさに自ら成宮先生を迎え入れようと体を動かせば、意図も簡単に阻止されてしまった。
「やぁだ……なんで……なんで……?」
体が疼いて切なくて。自分にしがみついてくる必死な俺を見て、成宮先生がニヤリと笑う。
あ、嫌な予感しかしない……こういう時の勘は、本当によく当たるんだ。好きな子程虐めたいっていう、この人の悪い癖……。そのスイッチが入った瞬間だった。
「何して欲しい?ちゃんと口で言ってごらん?」
「………………」
「なぁ、葵……」
意地悪く耳元で囁かれれば、それだけでビクンと背中が反り返るくらい反応してしまう。そんな俺に満足したのか、わざとらしく音をたてながら耳を舐め上げられる。
「くぅ、んん……あぁ……」
全身に力を込めて、爆発しそうな衝動に必死に耐える。眉間にシワを寄せ、息さえも殺して……。近くにある枕を、力一杯握り締めた。
「なぁ、どうしてほしいの?」
手首を掴まれて顔の横で押さえ付けられてしまえば、身動きすら取れない。今の俺は、玉座に座る王に見下ろされた哀れな奴隷だ。
歯向かうことなんか、できるはずがない。
「言えよ」
胸の飾りにカプッと歯を立てられれば、その痛みさえも快感に変わっていく。甘い電流が全身をビリビリッと駆け抜けて行った。
トロトロに蕩けた後孔に、成宮先生の昂りが当たるのに……少し体をずらせばチュルンって入ってしまいそうなのに……それができないもどかしさに、叫び出したくなる。
「体が、下半身が熱くて熱くて……しんどい……」
「エッロ……葵、可愛いな」
「千歳さん、お願い……もう、お願い……」
消え入りそうな声と共に、涙が頬を伝う。
震える手で、成宮先生の頬を撫でた。
「なぁ、葵……」
信じられないくらいの、成宮先生の甘ったるい声が静かな室内に響く。
そのまま、チュッと唇を奪われた。
「ん、んん……あ、はぁ……」
舌を絡め合う激しいキスに、頭がボーッとしてくる。もう全部が全部気持ちがいい。
もっともっと、俺を苛めたい成宮先生に……もっともっと虐められたい俺……。本当に最悪な組み合わせ。
「葵、可愛い。俺の葵は、こんなにも可愛い……」
全身を這い回る成宮先生の唇に、いちいちピクンピクンと反応してしまう。
もうこの人の思うつぼだ。
「続き……してほしければ、おねだりしてみろよ?」
俺の目からは、興奮からか涙が溢れ不安に揺れた。
でも俺は馬鹿だから、どうしても期待してしまう。だってあなたは、こんな時でさえかっこいい。
「葵、おねだりは?」
「俺、俺は……」
震える唇で言葉を紡ぐ。
「なぁ、葵。『千歳』って呼んで?」
「え……?」
「千歳、って呼んでよ」
「そ、そんな……」
俺が視線を逸らせば、顎を捉えられて強制的に視線を合わせられた。
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