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クリスマスに浮気をします①

 今日、恋人の誕生日でもあるクリスマスイヴに……俺は浮気をします。 付き合って何ヵ月記念日とか、バレンタインデーとか、ましてやクリスマスなんて……どうでもいい訳じゃないけど、あんまり興味がない。  だって、大の男二人が、 『クリスマスは一緒に過ごそうね』  なんて盛り上がってたら、気持ち悪いにも程があるじゃないか。それに、俺の恋人はそういった面倒くさいイベントの類に興味の薄い俺だから、一緒にいて楽なんだと思う。  でもさ、たまには考えることもあるんだよ?サンタクロースって、本当にいるのかなぁ……とかって。  アホらしいかもしれないけど、毎年クリスマスの朝に目を覚ますと、枕元にプレゼントが置いてあるんだ。 「これくれたの千歳さんですか?」  枕元に置いてあったプレゼントを持って、リビングで仕事をしている成宮先生に聞いてみる。 「ん?知らない。サンタクロースじゃん?」 「あなたはこの年で、サンタクロースを信じろと?」 「だって俺じゃねぇもん」  あまりにも素っ気なく呟いた後、『向こうに行ってろ』というジェスチャーをされてしまった。仕方なく、プレゼントを抱えて寝室に戻る。  丁寧にラッピングされたリボンをほどき、包み紙を破かないように取り除いた。 「あ、これ……」  顔を出したプレゼントを見て、思わず笑みが溢れた。 「俺が前から欲しかったやつじゃん」  それはあるブランドのキャップだった。前にショッピングモールで見かけて、一目惚れしたものだった。結局、時間がなくて買えなかったんだっけ……。  そう、この秘密主義のサンタクロースは、本当に粋な計らいをしてくれるんだ。俺が欲しい物を、ちゃんと把握している。凄いな……って思う。  去年は欲しかったゲームソフト。その前は、お気に入りのカップを割ってしまって落ち込んでいた時に、可愛い犬のイラストが書かれたカップをくれた。  でも、それと色違いのカップが家のキッチンに置いてあったから、思わず首を傾げてしまった。  その前はなんだっけ……あぁ、そうそう。『洋服がないよぉ』って嘆いていたら、高いブランドのパーカーをくれたんだった。  俺の欲しい物を、毎年届けてくれるサンタクロース。  素直に嬉しい。 「でも、今日まだ12月23日なんだよなぁ」  慌てん坊のサンタクロースが可愛らしくて……プレゼントをそっと抱き締めた。  

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