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クリスマスに浮気をします②
パソコンを前にに息抜きをしている成宮先生に、そっと声をかけた。
「あの、申し訳ないんですが…」
「あぁん?」
「もしサンタクロースに会うチャンスがあったら、『毎年ありがとうございます』って伝えておいてもらえますか?」
「あ~、わかったわかった。会ったらな」
大きな伸びをしながら、気のない返事をされてしまった。
今年は、ずっと欲しかったキャップの他に、フワフワの毛糸の帽子がついていた。
雪みたいな真っ白の毛糸の帽子。真っ赤なキャップとは正反対の白い帽子に、何だか可笑しくなった。
回りから見たら一見、上手くいっているように見える俺達.でも、何だか最近二人の歯車は上手く噛み合ってない。
もう付き合いも長くて、家族より多くの時間を共に過ごして……恥じらいとか、遠慮や心遣いなんかも全くしなくなって。お互いがお互い、いい意味でも、悪い意味でも気を使わなくなっていた。
そんな俺達が、すれ違い続ける原因はただ一つ。成宮先生が最近、物凄くイライラしている。
今年は、いろんな感染症が流行してとにかく忙しかったから、いつも病院は入退院でバタバタしていたし、目の回るような毎日だった」。
小児科病棟の若きエースとして、色々な葛藤があるんだとは思う。ストレスも半端ないんだろう。
話しかけても、「あぁ」とか「へぇ~」って適当にあしらわれて……相手にしてもらえない事も増えた。それは、俺に興味がなくなったようにも見えて。
成宮先生を見ていると悲しくなってしまい、段々話しかけることが虚しくなってきた。
そんな俺の寂しさを紛らわしてくれたのは、彼の弟の智彰だった。
俺は、成宮先生と一緒にいた時間を、智彰と過ごす時間に当てた。優しい智彰と過ごす時間は、とても心地よかったから。
「俺は器用貧乏だから、成宮先生の役にはたてないよ……」
小さく呟いて、大きなため息をついた。
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