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飴玉みたいに甘い恋①
成宮先生と付き合うようになって、俺の前には『上司と部下』っていう、大きな大きな壁が立ちはだかった。
手を繋ぐのも、キスをするにも、「あの天下の成宮先生と?」ってつい腰が引けてしまう。
だから俺は、キスをすることさえ怖かった。
二人きりになるのが何より気恥ずかしかったし、そういった雰囲気になろうもんなら心臓が爆弾のように鳴り響き、口から飛び出しそうになった。
そんな俺の初々しさがひどく彼の悪戯心を刺激したようで、日々弄り倒された。体に触れられるだけでパニックになる俺を、ニヤニヤしながら眺めている。
金魚のように真っ赤になり、口をパクパクさせる俺の反応を、心底楽しんでいるようだった。
最終的には、
「いい加減大人しく喰われろや」
と、強引に唇を奪われた。
それが俺達の初めてのキスだった。
この瞬間から『俺と成宮先生』の、いや『太刀と猫』との戦いの幕が切って落とされた。
今回は、俺目線で『猫』の葛藤と、意地とプライドの攻めぎあいを話せたらな……って思う。
🍬🍭𓂃◌𓈒𓐍
初めてキスをしてから、俺達は隠れて唇を重ね合わせるようになる。一度してしまえば、キスなんて初めての経験じゃないんだからなんてことはなかった……多分。
ただ、男と女の子の唇の違いは何となくあったけど、成宮先生のツヤツヤ輝く唇の感触も好きだった。
何より、何でも器用にこなしてしまうこの男はキスも上手だったから。
キスを繰り返しては、「幸せだな」なんて自分の唇をなぞっては余韻に酔いしれる。俺はそれだけで十分だった。
だいたいその先の進展が自分達にやってくるなんて想像もしてなかったし、同性同士の行為の仕方もわからなかった。それは成宮先生も同じだろう、って気楽に考えていた。
酔っ払ったときに、ふと成宮先生にゲイビデオを見せられたけど、「へぇ、男同士ってこうやるんだね」くらいにしか思わなかった。
それよりも目の前にお預けにされていた、酒の肴のお菓子が食べたくて仕方なかったし。
そんな俺を見て、成宮先生が溜め息をついていたなんて思いもしなかった。
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