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飴玉みたいに甘い恋③

 無我夢中で抱き合ううちに、少しずつ俺を抱くことに余裕が出てきた成宮先生。俺なんかいつまでたっても慣れなくて、怖くて恥ずかしくて仕方ない。  と言うより、成宮先生のテクニックに驚かされてばかりだ。一体この人はどれだけの場数を踏んできたのだろうか? 考えるだけで嫉妬の炎がメラメラと燻るのを感じる。  ただ女の子のように洋服を脱がされたり、愛撫されたり、股を開いたり……には大分慣れてきた。  けど怖い、恥ずかしいって感情が強いから、どうしても全身に力を入れて硬く目を閉じてしまう。奥歯をぶっ壊れるんじゃないかってくらい噛み締めて、息を潜める。 そんな怯える猫に、更なる試練が訪れた。  ある日俺を見た成宮先生が、 「葵……気持ち良くないか?」  不安そうに、汗で額に張り付く俺の前髪を掻き上げた。恐る恐る目を開けたら、不安そうな顔の成宮先生がいて。 「なんで声出さないの? 気持ち良くないから?」  俺の肩に顔を埋めてくる。 「俺……自信なくなってくるわ……」 「えぇ!?」  それを聞いて心底戸惑ってしまう。  正直、成宮先生とのセックスはめちゃくちゃ気持ちいい。でも、男の喘ぎ声を聞いたら興醒めすると思ったから、必死に我慢していた。  それに、どう声を出したらいいかわかなんないし。 「成宮先生、俺わかんないんです。どう声を出したらいいのか……可愛い声なんか出す自信ありません」  素直に気持ちを吐露する。ここでも猫の細やかな葛藤が始まってしまった。  だいたい喘ぎ声ってどう出すんだよ。女の子じゃないんだから。 「可愛くなんかなくたっていいよ。俺は葵の感じてる時の声が聞きたいんだ」  優しく微笑まれたら、「以後努力します」としか言えなくて。  俺は困ってしまった。  猫は愛する男の為にどう鳴けばいいんだろうか。  愛らしく喉をゴロゴロと鳴らし、腹を見せながら媚びを売る。俺にそれができたらなぁ。  けど本当はわかってるんだ。  成宮先生から与えられる快感を、素直に受け止めて表出すればいいだけのことなんだって。 「でも、絶対さ」  成宮先生が優しい笑顔を見せた。その仕草に、好きって想いが溢れてきて。 「葵の喘ぎ声は、絶対絶対エロくて可愛いよ」  ギュッと抱き締めて、飴玉みたいに甘いキスをくれた。

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