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エイプリルフールの化かし合い①

※今回は何となく『♡』が使いたい気分だったので、苦手な方はお気をつけください。  今日は4月1日。  世間ではこの日を『エープリルフール』と呼ぶ。  そんなエープリルフール当日に、実にくだらない(でも、本人達はとても真剣)、狐と狸の化かし合いが始まりましたとさ。 葵君が成宮先生に「別れよう」と嘘をついたら  恋人を試すなんて、絶対に良くない事だってわかってる。  でも、自分って本当に愛されてるのかなって不安になった時、恋人を試してみたくなる時だってある。  例えば「別れたい」って思ってもいないことを言って、「絶対に嫌だ」って泣いて欲しいとか。  こんなこと、本当にくだらないことだなんてわかりきってる。  でも、今日はエープリルフールだから……お願い、許して? 「千歳さん、別れてください」 「はぁ?」 「だから、別れて欲しいんです」 「なんで急に」 「急にじゃなくて、本当はずっと前から悩んでたんです」 「ふーん……」  突然別れを切り出した俺を、成宮先生は頬杖を付きながら眺めている。  そんな姿はやっぱりかっこよくて……。 『嘘です!本当は大好き♡』  って飛びつきたくなる衝動を必死に堪えた。 「もう、千歳さんにはついていけません。だから……別れてください」 「…………」  成宮先生が無言で俺の事を見つめれば、自然と顔が火照っていくのがわかる。お腹の奥が、ジンジン疼いてくるのを感じた。 「ならさ……」 「え?」  俺は突然手を強く引かれ、体のバランスを崩す。そのまま、ソファーに座っている成宮先生に跨る体勢で向かい合った。 (ちょっ……これは恥ずかしい……)  無意識に成宮先生から体を離そうとすれば、ガッチリと腰をホールドされてしまう。  俺は、この実に麗しい見た目をした成宮先生と、至近距離で見つめ合うことになってしまった。 「葵は、俺なしでいられんの?」 「え? 何を……ん、んん♡ はぅ……んん♡ やだぁ♡」  俺は後頭部を抱き抱えられ、呆気なく唇を奪われてしまう。  チュルンと成宮先生の温かい舌が侵入してきて、チュクチュク♡といやらしい水音をたてながら、舌を絡め合った。 「ほら、ここも」 「あぅ♡ は、はぁ♡ あ、あぁ♡ 」  キスで火照り出した体は、意図も簡単に目の前の男を求めてしまう。  カリッと指先で、胸の尖りを引っ掻かれればピクンと体が跳ね上がった。 「葵は乳首好きだもんな?」 「ん♡ あ、あぁ♡ べ、別に好きじゃない♡ 嫌だ、いやぁ♡」 「嘘こけ」  成宮先生がシャツ越しに乳首に噛み付けば、温かな成宮先生の唾液が布越しに広がって行って……それが、ジワジワと俺の下心を擽っていく。  ピチャピチャ。成宮先生の唾液に塗れたシャツを押し上げるように、俺の乳首は硬く立ち上がった。 「はぁ、はぁ♡ もう、お終い?」  突然離れて行ってしまった快感に、俺は眉を顰める。 「ふーん、エッチな葵はもっとエロいことされたいの?」 「あぁ♡ あ、あん♡ あぁ♡」  緩く立ち上がった俺自身を、スボン越しにユルユルと揉みしだかれれば、自然と自分の腰が揺れ出すのを感じた。 「エッロ……」 「やだぁ、エロくない……」 「十分エロいだろ?」 「んッ♡ むぅ……はぁ♡ あ、あん♡ もっと……♡」  再び唇が重ねられれば、自分から成宮先生の唇にしゃぶりつく。俺の頭の中はすっかり蕩けて、身も心もグズグズになってしまっていた。 「葵、セックスしたい?」 「したい……♡ 抱いて♡ ねぇ、千歳さん♡」 「こんな淫乱な猫が、俺と別れられんの?」 「別れない。別れるなんてもう言わないから……」 「絶対だな?」 「絶対……ごめんなさい」 「わかった」 「あッ♡ あん♡ そんな、いきなり……♡ あ、気持ちぃ♡」 「葵、可愛い♡」  所詮、狸は、狐の手の平の上で転がされているだけに過ぎないという現実を……たった今、突き付けられる。  そして、狸は呆気なく白旗を振りましたとさ。 「あん♡ 奥、気持ちいい♡」 「葵、気持ちいいな」 「はい。千歳さん、大好き♡」 【②へ続く】

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