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よく遊んでいる色んなミニカーの柄が入ったポンチョ型のカッパを着、揃いの長靴を履いた男の子が、水溜まりを見つけるや否や、走り、両足で飛び込む。
バシャンっ!
反動で男の子の周りに飛び散り、その様子が面白かったらしく、きゃっきゃと笑った。
『あかと。そんなことをしていると、ぬれちゃうし、おかあさんにおこられるよ』
『だいじょーぶだもーん!』
水溜まりに入っていた男の子より少しばかり大きい男の子が、軽く注意するが、どこから出てくるのか、そのような根拠のない自信を言って、雨の中、次の水溜まりへと駆けて行く。
その様子に、はぁ⋯⋯と頭を抱えた。
手の届かない距離で飛んだり跳ねたりしているのを見ていると、ふいにくるっとこちらに振り向いた。
『しおんくんも、いっしょにやろーよ!』
『ぼくは⋯⋯いいよ』
満面の笑みで誘ってくる朱音に、一瞬迷いを見せたような言い方をした。
『しおんくん⋯⋯?』
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