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近くで見ると驚いたのは、意外と高身長で、下駄を履いているからか、朱音とそこまで変わらないぐらいだったこと。 いや、今は意外と高身長の女子は多い方だ。クラスメイトの女子はやや低い方が多いから、見慣れないせいなのかもしれない。 そう思っていると、友人二人のうち一人が声を掛けた。 「ねぇねぇ! キミ、一人なの?」 「⋯⋯え、⋯⋯あの⋯⋯」 やや俯きがちで紡がれた声がやや低音だったことに、声を掛けた友人含め、一瞬あれ?というような顔をしたが、もう一人の友人が続けざまに言う。 「良かったら、俺たちと一緒に回らない?」 「⋯⋯あ、いや、僕、は⋯⋯」 「「僕?」」 友人らと共に朱音も心の中で首を傾げた。 その子ははっとして、口元を押さえたが、その仕草も美しく思えた。 小学校ぐらいの時に一人称が「僕」の女子がいたようなとぼんやりと思いつつも、見るからに困っているその子に大野が、「お前ら止めろって」と言った。──その直後。 「──お前ら、何している」 影が差したと同時に地を這うような低音が、朱音と大野のすぐ後ろから聞こえた。 背後から伝わる殺気。 ホラーでよくある後ろを振り向いてはいけない禁じ手を破り、瞬時に固くなった首を無理やり動かした。 見た目は同年代ぐらいだろうか、金髪に目つきの悪そうで何よりも誰よりも背が高い出で立ちである彼は、こちらが振り向いたことにより、一層目つきを鋭くさせた。 「なんなんだ、お前らは。人のものに手を出そうっていうなら、この俺が代わりに相手にしてやってもいいぞ?」 「⋯⋯ぇ、いや⋯⋯そのー⋯⋯」 「あ、碧衣君っ!」 友人の一人がしどろもどろになっていると、さっきの女の子が声を上げた。 「僕は大丈夫だから。ただ声を掛けられただけで、何もされてないよ」 「だが、葵人。声を掛けられただけでも俺は許せねーんだよ」 「碧衣君⋯⋯」 不安そうに、だが、どこか嬉しそうにも聞こえた。 あ、これは。 固まって動けない朱音を大野の方へ押しやった碧衣と呼ばれた彼は、葵人と呼んでいた彼女──もとい彼の、折れてしまいそうな手をぐいっと自身の方へ引き寄せると、突然されてよろけてしまった葵人のことをそのまま抱きしめた。 「あ、碧衣君⋯⋯っ」 「ったく、お前が待ち合わせしようなんて言うから、こういうことになるんだよ」 「だって、やってみたかったんだもん。恋人っぽいし。それに、何かあったら、僕のことすぐに見つけて、助けてくれるでしょ?」 「お前って、やつは⋯⋯。今すぐにでもお仕置きだな。とはいえどもお前にとっては、ご褒美になってしまうが」 「ふふ」

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