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「ほんとっ、あいつらしょーもなかったわ」 携帯端末を見ていると、いつの間にか大野は戻ってきたらしく、溢れそうになっていた涙を拭いた。 その次に、大野が何か言いたげに言葉を発したように聞こえたが、代わりに思いきり背中を叩かれた。 「いっ⋯⋯つー⋯⋯」 「あ、ごめん。思ったよりも強く叩いてしまったわ」 見悶える朱音に「ごめん、ごめん」と言い、慰めに撫でるのかと思いきや、叩きに叩いてきた。 さっきよりかは加減はしているものの、これ以上は叩かないで欲しいのだが。 「いってぇって! 何をそんなに叩いているんだし! 俺に何か恨みでもあるのかよっ!」 「ねぇけど、何となく。⋯⋯あ、あるとしたら、同レベルぐらいの頭なのに、夏休みの補習に出なかったことだな」 「はぁ!? それは言いがかりだろ!」 「ま、どーでもいいけど、俺ここで見張ってるから、お前も泳ぎに行けば?」 「ってぇ!」 バシンっ!と強めに叩かれたことにより、痛くて視界が滲み、立ち上がりざま振り向き、大野のことを睨みつけるが、当の本人はどこ吹く風といった顔で朱音のことを見上げていた。 「スマホ預けておくわっ!」 怒りをぶつけるかごとく投げると、いとも簡単に大野は受け止めた。そのことにさらに腹が立ち、力強く踏みしめながら海へと向かおうとした時だった。 視界の端で何かが煌めいた。 きっと誰かが不法投棄したビンなんかが、太陽に反射しているんだと思いながらも、その方向へ振り向いた。 それは何かの破片のような物だった。青に水色、緑、茶色と様々な色が大小とあり、打ち寄せてくる波にさらわれそうになっていた。 「⋯⋯これは」 波にされるがままになっている少々大きめの水色の破片を手に取った。 ──しおんくん、これきれいだね! 指先がピクリと動く。 いつぞやかの日も、コレを見つけた時、紫音に真っ先に見せてそうして言った。 その時、紫音は優しい顔をして、「きれいだね」と言ってくれて、ただ嬉しく思ったことは憶えている。 そして、コレはビンの破片の一部で、波に揉まれて角が丸くなった物だとも教えてくれた。 そういった物をたしか──。 「朱音? そこに突っ立って何してんの? 熱中症?」 「⋯⋯っ!」 背後からひょいと顔を覗き込むような気配を感じ、飛び上がらんばかりに驚き、咄嗟に声がした方に振り向いた。

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