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暑いのもあり、だらだらと体育祭をやっていた。その時、やはり本人が言っていたのと、女子達の会話により、紫音の姿がいないことに改めて思い知らされ、何故参加しないのか、疑問に残りつつも、一学期の中間と同じく紫音に教えてもらいながらした中間は、やはり赤点を免れ、それをまた友人らに文句を言われ、からかわれながらも、その間、文化祭の準備をしていく毎日を送っていくうちに、あっという間に文化祭当日となった。──のだが。 「──メイド服は諦めがついたが、まさか、これを絶対に履かないといけないのかよ⋯⋯」 朱音のクラスの、更衣室としている簡易に作られたカーテンの中、思っていたよりも短いメイド服のスカートに、落ち着きがなく、サイハイソックスを履いた足を擦り寄せながら、両手に持っているソレを見て、正気かよと困惑した。 朱音が持っているソレは、やたら布地の少ない、いわゆる紐パンだった。 先刻、クラスに来た直後、文化祭実行委員の女子に押し付けられるように渡されたメイド服を見て、この日が来てしまったかと肩を落としていたところ、後から来た大野と共にしょぼしょぼと簡易更衣室に入り、気乗りしないまま着替えていた。 そしてサイハイソックスを手に取った時、ぱさりと何かが落ちた音がしたような気がしたが、大野と他の男子達が、「うっわー! クッソ似合わなー!」「お前もなー!」というあまりにも騒がしい笑い声にかき消されて、何か落ちたのは気のせいかと思いながら履いた時、何となく床を見ると、ソレを見つけてしまったのだ。 傍らにはそれと同じようなデザインのガーターベルトまで用意されていたことも。 「⋯⋯何無駄に経費使ってんだし」 クラスごとに決められた費用が割り当てられ、それを何とかやりくりして、材料を集めていくのだが、余った費用は返さないといけないのだという話らしいが。 「お? 朱音。何パンティーを見ているんだよ。何か想像してムラムラしてんのかよ〜。エッチだなぁ」 「きっしょく悪いことを言ってんじゃねーよ」 「まあ、冗談を言っている場合じゃないよな。早くしねーと、俺らの番になるし」 「そう、だよなぁ⋯⋯」 はぁ·····と長いため息を吐きながら、履いていた下着から持っていた紐パンへと履き替える。 この薄くも布地が少ないのが心もとないし、それに、前のが強調された上にきゅっと締まっていて、さらに落ち着きがなくなっていく。 こんなんで人前に出られるのだろうか。 「朱音。それきっと反対だぞ」 「え? 何が?」 「ガーターベルトをした後に、紐パンを履くみたいだぜ。ほら、ここにも書いてある」 ずいっと大野がこちらに携帯端末の画面を見せたのを、じっと見てみる。 たしかにそのサイトでは、大野が言っていた通りの記述が示されていた。 「いや、別にどっちでも良くないか? いざとなれば横の紐で取れるみたいだし」 「しかも、お前のパンティー、前空いているみたいだし?」

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