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6-2
そう言いながら、大野がごく自然にスカートを捲った。
「⋯⋯あれ? なんか、勃っ──」
「ねーわっ!!」
バッとスカートで隠す。
男同士でもそのようなところを見られるのは、プライベートを覗かれたようで本当に恥ずかしい。
いや、大野がそう見えただけだ。自分はそのような状態にはなってない。絶対に。
「こら、朝田! 大野! 早くしなさいよー! もうそろそろ始まるわよ!」
「はーいっ!」
「今、出るって!」
カーテン越しに聞こえる委員長の怒鳴り声に、「俺は先に」と出ていく大野に、「待てよ!」と言いながら、慌てて付け方を検索し、見よう見まねでガーターベルトを取り付けて、出て行った。──が。
「あら、朝田。思っていたよりも可愛いじゃない」
「私よりも足細くない?」
「これなら男ウケが良くて、繁盛するかもね! そして、優勝を狙っていくわよー!」
と言いながら、待っていたらしい執事に扮した女子達が揃いも揃って写真を撮っていく。しかも、連写で。
先ほどの雰囲気とは一変しているし、終始にやにやしているし、これはこれで怖いんだが。
「⋯⋯いや、あの、撮らないでもらえないですかね⋯⋯」
「待って! あと十枚! 十枚だけ撮ったら終わらせるから!」
「こっちにも目線送ってもらえる?!」
「あと何かポーズを取ってもらえるとありがたい!」
蚊の鳴くような声で思わず敬語で話すと、いっぺんにそう言われ、「あ、そっすか⋯⋯」と女子達のされるがままに撮られ続けていると、ようやく満足した女子達に、「最高だった」「ありがとう」「いいものを見させてもらった」とそれぞれ肩に手を置かれ、いい笑顔を向けられた。
何なんだ、これは。
呆然としながら、「あざーす⋯⋯」と死んだ目で礼を言った。
そうしているうちに、文化祭が始まるアナウンスが始まり、途端先ほどとは打って変わっての女子達が「さあ、やるわよー!」と言って、一人ずつ指示を出していく。
「朝田と大野は、見栄えがいいから外で客寄せしておいて!」
「分かった」
「はー⋯⋯い」
真逆の返事をした二人は、言われた通り、教室の出入口で、渡された看板を持って、呼び込みをしていた。
「朱音。元気がないぞ。もっときちんとやれよ。俺らが後で言われるぞ」
「⋯⋯さっき見ていたなら、分かるだろ。自分には関係ないからって、遠くで笑っていやがって」
「いやぁ、まさかあの女子達が勝手に敵視している朱音のことを、メイド服を着た途端、態度を変えるもんだから、笑えてくるでしょ」
「⋯⋯めちゃくちゃ複雑な気持ちでいるんだから、言うなよ」
「まあまあ、そう言うなって。あの女子達、見る目あるんじゃね?」
「⋯⋯?」
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