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戸惑いの表情で紫音のことを見ていると、取られたままの手を、あろうことか、紫音の足の間まで下ろされていく。 男であるなら真っ先に分かるその部分。しかし、何故そこを。 と、思っていた矢先、指先にズボン越しからでも伝わった質量を感じ、目を瞠った。 「⋯⋯こういうこと」 少しばかり伏し目がちに紫音は言った。 こういうことって、どういうこと。 この部分がこうも膨らむのは、何かに興奮したからというわけで、その「何か」というのは、多分きっと、朱音のことでということだが、何故に。 ああ、けど、こうして見るからに膨らんでいるということは、抜かないと苦しいということだ。 こうなってしまったのは、朱音のせいであるらしいから、どうにかしてあげたいと思ってしまう。 そのせいなのか、感化されてなのか、元々キツいと感じていた下着がもっとキツく感じられた。 まさか。 「⋯⋯幻滅しただろ」 「それを言うなら、俺だってドン引きすると思う」 「⋯⋯え⋯⋯?」 何を言っているという顔をする紫音をよそに、今度は朱音がその手を取って、無意識に開いていた足の間へとスカートの下に入れ、触らせた瞬間、手がぴくりと動いたのを感じた。 と、バッと顔を上げた紫音の表情が信じられないと言いたげであった。 「⋯⋯俺、見知らぬ誰かに触られた時は、本当に恐怖で震えた。多分、この先も覚えているうちはそうなるかも。でも、それを上書きするかのように、紫音が、その⋯⋯褒めながら、撫でてくれた時は、嬉しくて仕方なかった。ねだってみるもんだなって思った」 「⋯⋯そうか」 「それと、そういう気持ちの現れなのか、それともしおんにぃのを触れて、なのかもしれないな。⋯⋯ココがこうなって⋯⋯ええっと! お互い抜かないといけないよなって話! だから、俺、一旦トイレに──」 「俺が、慰めてやる」 再び左手首を掴まれて、そう言われた。 恥ずかしがっているのか、僅かに頬が赤らんでいるように見えた。 けれども、その美しい声には相応しくない紡がれた言葉に、あんぐりとしてしまった。 「えっ!? しおんにぃ!?? 今、何て?」 「⋯⋯だから、コレを慰めてやるって⋯⋯」 「あ、いやっ! その意味は完全に理解したんだが、いや、えっ! ここまで触らなくてもいいし!」 「──ねぇ、この教室から声が聞こえなかった?」 肩が上がるぐらい驚いた。 突如として聞こえてきたその声は、この教室の外の廊下からで、その時、紫音が咄嗟に朱音に覆いかぶさり、それに押されて、並んでいた机の上に横たわる形になる。 その時、下半身のが紫音のと当たり、いたたまれない気持ちになり、ぎゅっと目を瞑った。

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