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2.
「······その、全てを知った後だと、しおんにぃが、久しぶりに会えたのに、あのような態度をしていたのは、昔観ていた戦隊モノのように振舞っていたからだって分かったけど······本当に俺のことを忘れたのかなって、思ったりもしてさ······」
こんなことを言ったら、紫音を困らせてしまう。
小さい頃、会った時から困らせていたようだから、言いたくないのに、けれども、自分の口ではないかのように言ってしまった。
涙が溢れ出てくる。
ごめん、ごめん、しおんにぃ。これじゃあ、しおんにぃを責めてしまってる。
この涙を止めて、紫音に謝らないとと思って、溢れ出る涙を拭っても、止まることを知らない。
「······ごめんね」
朱音の泣く声しか聞こえなかった中に、静かな声が混じる。
一瞬、涙が止まり、雫が頬に伝うと、思い詰めた表情をする紫音が見えてしまった。
「······本当に、思い違いをしてたよね。謝って許されることじゃない。······から」
思い詰めた表紙から一変、ひどく神妙な顔つきをする。
「離れてしまった分もこれからも、いや、一生、朱音のどんなお願いも聞いてあげるから」
涙が完全に引っ込んだ。
「あ、いや······そこまでして頂かなくても······」
思わず、敬語になってしまうほど驚いてしまったが、やはり紫音は真剣そのもののようで、
「じゃあ、朱音はどうしたら笑ってくれる?」
「笑うって、そりゃあ······。紫音がそばにいてくれたら」
紫音は目を見張った。
「え······本当に、いいの? 傷つくことをしたのに」
紫音がそういうのも無理はない。なにせ、態度が怖かったと泣いていたくせに、紫音がそばにいて欲しいと言うのだから。
それはだって。
「そうであっても、好きであることは変わらない。好き。とても好き。大好きだ、紫音」
朱音の上で膝立ちをする紫音のことを抱きしめる。
そうしてくれるとは、それとも、そうされる資格がないと思っているのか、ピクッとしていたものの、構わずに体を密着させる。
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