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第5話 蓉※
きっちり10時間後に起きると、もうすっかり夜になっていた。見慣れない景色で知らないベッドの上だけど、すぐに海斗の部屋だとわかった。
睡眠の後はいつも頭がスッキリとしている。快適だ。
「起きた?先輩は寝言をはっきり言うんだね」
「げっ!マジか!知らなかった。何て言ってた?」
「そうですか!って誰かと喋ってたよ。めっちゃウケた。あははは」
事細かく寝言を教えてくれる海斗はゲラゲラと笑っている。
「よし、じゃあ、先輩は部屋に帰る?」
「ああ、うん。ありがとな。ご飯、めっちゃ美味かったよ。海斗、料理すげぇ上手なんだな。久しぶりだった、弁当じゃないご飯って。じゃあ、またな」
大きく伸びをしてベッドから降り、隣である自分の部屋に帰ろうとした。後ろからエコバッグを肩から下げた海斗も付いてきている。
「あれ?お前、どこか行くの?買い物?」
「えっ?違うよ。先輩の部屋に俺も行くんだけど」
「はあ?何で着いてくるんだよ!お前の部屋はここだろ?俺は自分の部屋に帰ってやることがあるんだよ!ついてくるな」
「やることってオナニーでしょ?だから俺が手伝ってあげるから。ほら、行くよ」
「はああっ?」
「ほら、いいから、いくよ」
やめろ!やめろ!と言うも、他の住人がびっくりするからそんな大声出すなと海斗に言われ、ビクついて声を抑えているうちに、自分の部屋に海斗を上げてしまった。
綺麗に整理整頓されている自宅を見て、呆然とした。海斗が片付けしてくれていた。
会社のことや、自分の身の振り方については気にしないと思っていたが、部屋の整理整頓も出来てなかったのは、心の奥がやっぱり乱れていたからかもしれない。
スッキリした部屋は気持ちがよかった。
「寝る前に、鍵借りるねって言ったら、先輩がうんって返事したからさ。勝手に入って掃除しちゃった。ごめんね」
「嘘つけよ…そんな返事しないだろ俺は。なぁ海斗、何でそんなに俺に構うんだ?会社のミスが気になるのか?今までは、ここまでじゃなかっただろ?」
今までも海斗はしょっちゅう蓉を誘ってくれていた。会社帰りに飲みに行ったり、たまに映画や野球を見に行ったりすることもある。だけど、こんなに生活全般の面倒を見ることはなかった。
「俺は変わんないよ。うーん…まぁ、ひとり暮らしだから余計先輩を構いたくなるのはあるかも。だけど基本的にずっと同じだよ。せっかく隣同士で住むことになったんだから、ご飯は俺が作るよ。これから一緒に食べよう。それと、先輩の生活スタイルが知りたいからさ、教えてよ」
言えるわけがない!
食って、寝て、オナニーなんて!
グイグイくる海斗にタジタジになりながら、蓉は答えを探している間も、海斗は飄々と話し始めている。
「俺、ちょっとわかったよ?先輩は三大欲求が強いんだよね。食べるのは相変わらずいっぱい美味しそうに食べるし、寝るのも好きでしょ。きっと寝ると気持ちがリセットされるんじゃないかな…それと、性欲?先輩が一番心配してるのは、それだよね?ひとりでバイブ使ってさ、音が隣の部屋の俺に聞こえるより、二人でした方が恥ずかしくないって。大丈夫だよ、俺に任せて。これからは俺が先輩の欲求を全てコントロールするよ」
睡眠が満たされたので、今は確かに性欲がムクムクと育ってきている。海斗のあっけらかんとした態度に無言になり、ひたすら海斗の行動を眺めているだけだった。
「えーっと、部屋は?明るくない方がいっか…こんくらい?それと…オカズは?動画?何か見るの?」
「お前、本当アホなのか?何でそんなに至れり尽くせりなんだよ。そんなサービスがあるお店かと思っちゃうだろ?ああそうだ、俺は今からオナニーをする。性欲が人並み以上あり強すぎるんだ。動画なんて必要ない、耐久レース並にやるんだから、お前が手伝うことは何もない。帰ってくれ」
ここはもう、きっぱりはっきりオナニーをする!と伝えるしかない。そう思い、男らしく潔く蓉は海斗に伝えた。
しかし、相手も負けていない。営業第二部の不動のエースである海斗だ。営業で培った押しが強い。
「男らしいね、先輩。OK!じゃあ、ベッド来てよ。タオルも準備してあるし、あ、ほら、さっきのバイブはどこ?それからえっと…ローションは…俺もさっき買ってきたから、ほら、これ」
ローションを数本購入してきたようだ。こんなのもあったよと、エコバッグに入っているのを海斗から見せられる。さっき持っていたエコバッグにはこれが入っていたのか。買い物に行くのかと思ったのに。
その押しの強い海斗に手を引かれてベッドまで連れて来られた。海斗は更にタオルもご丁寧に持ってきていた。タオルをベッドに敷き詰めて、ころんとその上に横にされる。海斗の手際の良さが怖い。
「じゃあ、俺が後ろからやってあげるよ。どんな感じかな…こんな感じ?」
「ええーっ、やだよ、恥ずかしい。あっ!勝手に触るなって!やめろよ!げっ!服を剥ぎ取るなって!」
やはりここでも海斗の手際の良さが手伝い、全裸にされローションでペニスを擦り上げられる。身体の大きな海斗は安定感があり、後ろにいるから寄りかかるような感じになる。しかも、恥ずかしかったのは初めのうちだけで、すぐに気持ちよくなりあっという間に一回目の射精をしてしまった。海斗の手の中で果ててしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ、ヤバ…気持ちいい」
「先輩?次は玩具使う?その前に後ろをほぐすんだよね?していい?俺がやってもいいの?」
やめろ…と言いたいが気持ち良すぎて声が出ない。それに海斗は返事を聞くこともなく、グイグイとやり始めている。
他人の手がこんなに気持ちいいと初めて知る。海斗の手は大きいなと思っていた。
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