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6.
「あかとくんがそういってくれて、ぼく、とってもうれしいよ。だからね、またあそぼう」
「ほんと?」
「うん、ほんと」
「ぜったい、ぜったいだからね!」
ミニカーを壊されないかと心配した時のように、また念押しされ、そんな"あかと"に今度は自然と笑みが溢れていた。
「ぜったいのぜったいだよ」
目にいっぱい涙を溜めて、引き留めようとする"あかと"があまりにも可愛くて、気づけばその小さな頭を撫でていた。
自身の無意識な行動に、少しばかり驚きはしたが、こうすると嬉しそうにしているのを見て、やってみたくなったのだ。
あるいは、された記憶のないから願望でもあるが。
撫でた瞬間、されると思わなかったようで、ビクッとした反動で涙が溢れ、しかし、みるみるうちに目をキラキラとさせたのだ。
口の中で、え、と呟いた。
周りの子達は、嬉しそうな顔を親に見せるのか。それにしても、撫でただけでこんな顔をすぐに見せてくれるだなんて。
「しおんくん、ありがと〜」
小さな両手を、撫でている紫音の手に触れて、きゃっきゃっと笑っている。
ああ、可愛い。いつまでもこうしていたい。
「⋯⋯じゃあね、あかとくん」
撫でるのを止めた途端、つぶらな瞳を、少し残念そうな顔を見せて、こちらのことを見ていた。
「······うん、ばいばい」
小さな手のひらを向けて、これもまた小さく手を振って、また泣きそうな顔をしていた。
よく泣いたり、笑ったり、はしゃいでみせたり。
紫音がそんなことをしたら、逐一怒られ、手を上げられてしまう。
そんなことを一切されずに、自由に大げさに表情を見せてくれる"あかと"のように、泣いたり、笑ったり、はしゃいでみたい。
そしたら、楽しく、面白く感じられるのだろうか。
別れを名残惜しそうにしている"あかと"を見て、羨望と会って、そのような感情を一緒にしたいと思うようになった。
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