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「「「朱音、卒業おめでとう〜〜!!!」」」 紫音と共に家に帰り、一旦紫音がリビングに向かったのを見送った後、部屋で着替えて、くつろいでいた時、「リビングに来て」という母に促され、渋々やって来た途端、三人がクラッカーを鳴らして、朱音を迎えた。 「ちょ⋯⋯何! いきなり、なんなんだしっ!」 あまりにも突然の出来事に、朱音は驚きのままに上擦った声が出てしまった。 「何って、朱音の卒業祝いよ」 「酒盛りでもするかぁ」 「サプライズ成功ですね。⋯⋯ふふ、驚いた顔も可愛いね」 口々に言い、最後には上機嫌になった紫音が、さっきよりも思う存分に撫でまくった。 「⋯⋯しおんにぃも、あいつらのグルだったわけ?」 「ごめんね。朱音を楽しませたくて、前々から考えていたことなんだ」 「前々から⋯⋯」 そういえば、卒業式が近づくにつれて、母が機嫌良さげに何かを作っているのを見たことがあった。 何をしているのか、訊こうにも適当にはぐらかされ、面倒になった朱音はそれ以降、見かけても何とも思わなくなっていたが、まさか、このことだったとは。 またも、突然紫音が来た時のように驚かされ、呆然としてしまった朱音を、「チョコレートケーキを僕の分のをあげるから」と言ってきた。 「いいよ、そこまでしなくてもっ。しおんにぃと食べるの、好きだし」 朱音の誕生日だからって、親が切り分けてくれたケーキを自分の分まであげようとしていた時があった。 あの時は、「朱音の誕生日プレゼントをあげられなかったから」と涙を堪えながら言ってきたのだ。 今思えば、うっかり者の親が一緒に買いに行かなかったせいなのか、紫音は色んな習い事をしていたから、忙しくて買いに行くタイミングがなかったからなのだろうと思うが、当時の自分が言った時のようなことを口にする。 「いいの?」 「いいって! しおんにぃは今までガマンしまくっていたんだからさ、親がああいうことするの、いつものことだし、気にすることないって!」 「朱音·····。本当に君は優しいね」 「それは、しおんにぃもでしょ」 本当のこと、けれども、冗談めかして言うと、紫音は笑って、髪がくしゃくしゃになるくらい撫でてくれたのもあって、一緒になって笑った。 「ほぉら! イチャイチャしないで、食べなさい! 隙があらばイチャイチャするんだから」

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