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腰に手を当てて、「イチャイチャ」を二度も強調して言ってくるのを、両親がいる前であったことを思い出され、カッと熱くなると、「うっ、うっさいな!」と照れ隠しの八つ当たりをすると、もう席に着いて父が酒盛りしている斜め前に座った。 それに続いて、横に紫音、朱音の前に母が着席すると、皆それぞれグラスを持って掲げた。 「「「卒業式おめでとう! 乾杯〜!!!」」」 「──あぁ! 食った、食ったぁ!」 自室のベッドへ仰向けになって倒れ込むと、少し膨れた腹部をポンポン叩いた。 「本当によく食べていたね。そんなにもお腹空いていたの」 「まぁ、卒業式の緊張とか泣くよりも、いつも通りだなと過ごしていたし」 そう口にしたが、本当は何よりも紫音が来てくれることへの淡い期待に対する緊張があったが、 こうして、「まだ一緒にいたい」と言って、朱音の部屋にお邪魔する紫音が近くにいてくれて安心したものだから、食べまくった。 「⋯⋯卒業式の時も、僕のこと考えていた?」 「⋯⋯っ!」 ぼんやりと考えていた朱音に、紫音が覆い被さってくる。 ふわっと香る、嗅ぎなれた柔軟剤と、嗅ぎなれない匂いは、香水の類いだろうか、それが混じった。 「さっきも、卒業式以外でも僕のことを考えていたみたいだから、きっとそうなんだろうね。⋯⋯そうだとしたら、嬉しい」 耳の縁をなぞるように触っていたかと思うと、首筋に顔を埋める。 なぞられた時から、背中にぞくぞくとしたものを感じ、妙な気分が募ってくる。 こんなにも密着されていると、足の間の持ち始めている熱に気づかれてしまう。 "そういうこと"を期待していると、思われる。 「⋯⋯どうして、朱音と同い年じゃなかったんだろう」 「それ、しおんにぃの卒業式の時も言ってなかった?」 「へへ、そうだったっけ?」 笑っているようだ、震える紫音の体が直に伝わる。 「けど、俺もそう思う。あと二年産まれるのが早かったら、同じクラスになって、登下校も弁当も一緒にいられたのになって。あと、修学旅行とか!」 「あ、修学旅行の時のお土産、ありがとう。紅いもチョコレートサンドだったかな。紅いもタルトは定番かと思ったら、そんなのもあったんだね」 上半身を起こした紫音が、味を思い出しているのだろう、朱音に向ける時のような、ふんわりとした微笑を浮かべていた。

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