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紫音の目線が朱音の後ろに注がれているのを、半歩遅れて見ると、朱音は自身の体で覆い隠した。 マズイ、マズイ、マズイ! コレを出しっぱなしにしているのを忘れていた! しおんにぃの匂いが付いているって思わず嗅いでいたら、自慰をするオカズに⋯⋯って、じゃなくて! 「朱音? どうしたの? 寝ちゃった?」 「あ! 寝てない寝てない! なんでもないなんでもないっ!」 「朱音⋯⋯?」 バッと起き上がって、こちらに寄ってきた紫音に、必死になって「なんでもない」を繰り返し、自身の体を盾にし隠していた。 きょとんとしていた紫音であったが、「なんでもないって、言うなら⋯⋯」と、大人しく引き下がった。 そのことに対し、朱音は安堵の息を吐いた。 コレをどこかに隠して、紫音の頭からなかったことにしてもらおうと、大量に汗をかいているのを感じながらも、紫音が目を離す隙を窺っていた。 「あ、そういえばね。僕、深夜ドラマに出演することになったんだよ」 「知ってるー! SNSで言ってたよな」 チャットアプリで、SNSを開設したと言ってくれた時、真っ先にフォローした上に、通知が来るように設定し、必ず見るようにしていた。 だから事前に知っていたことだが、たしかその深夜ドラマというのは⋯⋯。 「こんなこと、急に頼むのもなんだけど⋯⋯。相手役をやって欲しいんだ」 目をぱちくりさせた。 何故、突然そのようなことを。 「ん⋯⋯? んー⋯⋯しおんにぃのためなら全然やるけどさ、たしか相手って──」 「じゃあ、雰囲気作りのためにお着替えしようね」 「ちょ、しおんにぃ!? 何してんの!」 「何って、お着替え?」 ごく自然と脱がせにくる紫音に非常に驚いた。本当に何をしようとしているのか。 「昔、よくお着替えやってあげたなって思い出していたら、無意識に手が出ていたみたい。もうとっくに僕にお着替えさせてもらう歳じゃなかったよね」 起きた時、風呂から上がった時にやってもらったような記憶がちらつく。 前と後ろをよく間違えていた朱音に見かねてなのか、いつの間にか紫音にやってもらうのが当たり前になっていた。 着替えてもらった後、『ありがとー、しおんにぃ!』とぎゅっとしてするのも好きだったことも。 寂しそうに笑う紫音に声を掛けた。 「マジでそういう歳じゃないし、今は自分でちゃんと出来るんだけど⋯⋯久しぶりにお着替えさせて」

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