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「しおんにぃ、俺がいるから。しおんにぃは何もかも背負いすぎなんだよ。俺にも分けて。守ってばっかりも嫌だから、少しでもこっちが守ってあげるからさ、ねぇ、しおんにぃ⋯⋯」 呻き声を上げる彼の手を握りしめる。 熱のせいでいつもより暑く感じる手が握り返されることがないと思った時、悲しみに暮れる。 と、そんな時。不意に目を覚ました。 「しおんにぃ!」 歓声を上げた朱音は、驚きと喜びの涙が溢れそうになった。 紫音はというと、うっすらと目を開け、ぼうっと天井を見つめた後、今さらといったように、朱音の存在を認めた。 「しおんにぃ、どう? 何か食べられそう?」 「⋯⋯朱音が、きてる⋯⋯。ようい、しないと⋯⋯」 用意って何のこと、と疑問符を浮かべている中、起き上がろうとしている紫音を慌てて押し戻した。 「ダメだって言ってるだろ。熱を出しているんだから、寝てろって」 「ねつ、出していたんだ⋯⋯いつの間に⋯⋯」 さっきのことは覚えていなさそうな彼は、思い詰めた顔をする。 そんな表情を見たくなくて、話を切り換えた。 「何か口に入れる? 薬を買ってきたらさ、それを飲まないといけないし」 「⋯⋯朱音が、買ってきたものなら⋯⋯なんでも⋯⋯」 普段でも一言目に「朱音が〜」である。 こんな時こそ、自分の食べたい物を言ったらいいのにと文句を言いそうになるのを堪え、取りに行くことを告げ、一旦冷蔵庫に入れたカップアイスを、重だるそうに起き上がっていた紫音に渡した。 小さく「いただきます」と言って、スプーンですくい、口に運ぼうとするが、途中で落としてしまった。 その際、誰かに向かって小さく謝りながらも再びすくい上げ、食べようとするが、また落としてしまった。

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