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「⋯⋯そう、いえば⋯⋯。どうして朱音は、僕が⋯⋯熱、だと知ったの⋯⋯?」 「え、メッセージ送ったの、覚えてない?」 ポケットから取り出した携帯端末の画面を、開いたメッセージアプリを見せると、不思議そうな顔をしていた。 無意識に、それか意識を朦朧とさせながら打ったのだろうか。 「まぁ、なんでもいいけど」と携帯端末を戻した時、ぽつりと呟いた。 「ねつ、出しても⋯⋯普段通りに⋯⋯しないと、いけなくて⋯⋯。こうやってされるのが⋯⋯当たり前だと⋯⋯知らなかったんだ⋯⋯。朱音の家に、少しだけ⋯⋯預かってもらって、熱出した時⋯朱音の⋯⋯お母さん、驚いていたな⋯⋯ヴァイオリン、弾こうとして⋯⋯」 か細い声で紡がれた言葉で、理解してしまった。 朱音が買い出しに行って、帰った時、熱を出しているのにも関わらず、ヴァイオリンを弾こうとしていたのはそういうことだったのだと。 朱音が思っている以上に紫音の家庭環境は複雑で、こちらの常識は通用しないようだった。 何故、そこまでして紫音を虐げるのか。 ところが、散々虐げた挙げ句、自分の言うことを聞かないといって、実の両親に捨てられた紫音は母親の妹──紫音からすれば、叔母にあたる人に育てられたという。 その時、ふと思ったことを口にした。 「叔母さんのところにいた時は?」 瞼を開けているのが億劫だと言わんばかりに閉じていた紫音に、タイミングが悪かったと思っていると、苦しそうな息を吐きつつも、律儀に答えてくれた。 「⋯⋯また、熱⋯⋯出したら、言われると⋯⋯気、張っていた、⋯⋯なのか⋯⋯ださなかった⋯⋯と、⋯⋯出していても⋯⋯必死に⋯⋯隠そうと⋯」 「もういい。ごめん。無理に喋らせた。しおんにぃ、もう寝てていいよ」 あやすように、紫音がいつもしてくれているみたいに頭を撫でてあげると、聞き取れない声量で呟いているうちに、小さく寝息を立てていた。

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