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ふたり占め#1 ⑨

◇◆◇◆◇ 藍流のベッドで俺を真ん中に、左隣に流風、右隣に藍流が横になる。 ベッドが大きいので三人で寝てもくっつけば全然問題ない。 「奏が俺のスウェット着てるの、可愛い」 「うん。今日は藍流のだから、次は俺の着てね」 藍流と流風に両側から抱き締められる。 ちゅ、ちゅ、と何度もキスが降ってきて、どきどきしてくすぐったい。 「藍流、流風…」 「「なに?」」 俺が呼びかけると、ふたりの返事が重なった。 「俺も藍流と流風の事、一生大切にするね」 ふたりに大切にしてもらうだけじゃなくて、俺もふたりを大切にしたい。 思ったままを伝えると、ふたりはぎゅうっときつく俺を抱き締めた。 「どうしよう…心臓壊れたかも」 「俺も」 藍流と流風がそう言って、またキスをたくさんくれる。 俺もふたりにキスをして、手を繋いで三人で眠りに就いた。 ◇◆◇◆◇ 買ってきた材料でおかずを作る。 卵焼き。 それかられんこんのきんぴらと、ほうれん草とベーコンのバター炒め。 鶏もも肉は甘辛焼きにして、ボリュームがあったほうがいいからミニハンバーグも入れる。 ミニトマト…入るかな。 ご飯が炊けた。 三つのお弁当容器におかずとご飯を詰める。 お弁当箱は三つもないし、学校で捨てられるほうが楽だから使い捨ての容器。 そこに母親が起きてくる。 「おはよう。お弁当作ってるの?」 「うん」 「言ってくれれば私が作るのに」 「ううん。俺が作りたいから」 ていうか俺が作らないと意味がない。 「朝の弱い奏がお弁当作りなんて…尽くしたくなるような彼女でもできた?」 「彼女はできてないけど…」 お弁当完成。 満足顔をする俺の視線の先を母親が見て。 「三つも作ったの?」 「うん」 「奏の分とお友達の分?」 「ううん」 一個ずつ袋に入れて、割り箸を忘れないように入れる。 あとミニパックのふりかけ。 藍流と流風、喜んでくれるかな。 「俺の分と…大切な人達の分」

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