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ふたり占め#6 ③

◇◆◇◆◇ 少し遅い昼食を終えて藍流の部屋に戻る。 ふたりとも、ぽーっとした顔してる。 階段で躓いてたし……俺も躓いたけど。 変な距離を置いて座って深呼吸。 すぅーはぁー…。 「「「………」」」 もうなにがなんだか。 藍流を見たら目が合って慌てて目を逸らす。 流風を見たらやっぱり目が合って、わわっと目を逸らす。 ふたりとも俺を見てる…? 「奏、バンザイ」 「? バンザイ…」 流風に言われて両手を上げたらパーカーをすぽっと脱がされた! 「!?」 背中から藍流の腕が腰に回って俺の履くジーンズをするりと下ろす。 あれよあれよという間に下着だけにされてふたりに抱え上げられた。 「え? え…?」 ベッドに寝かされ、藍流と流風が頬を染めて俺を見下ろす。 この角度でふたりを見上げるの、ほんとどきどきするし慣れない。 顔も身体も熱くなってくる。 「あの…?」 ふたりはただじっと俺を見ている。 そんなに見られたら恥ずかしいのに、熱い視線で溶けちゃいそうなくらいに見つめられる。 「…奏ってずるい」 「ずるい?」 「可愛い事ばっかしてどんどん俺達を夢中にさせる」 藍流と流風が拗ねたような顔をしている。 なにに拗ねてるんだろう。 そっとふたりの頬に触れてみると、ふたりとも俺の手を大切そうに両手で包む。 「……俺達ばっかり夢中になってる」 「え…」 「奏にも俺達に夢中になって欲しいのに…」 「…ふ」 思わず笑ってしまう。 藍流も流風も可愛い。 「なんで笑うの?」 「ひどい…でも可愛いから悔しい」 また拗ねた顔。 身体を起こそうとしたらふたりに同時に肩を押されてベッドにころんと転がされた。 起きちゃだめって事か。 「俺だって、藍流と流風しか見えないよ…」 おかしい。 だってふたりは俺にとってこんなに大きい存在なのに。 「…藍流と流風がいないとだめになっちゃったんだから、一生かけて責任取ってよ…」 嫌だなんて言わせない。 嫌って言ったってしがみ付いて噛み付いて離れない。 「…え」 するすると下着を下ろされた。 なんでこのタイミングで? 恥ずかしいんだけど。 「……やだ…」 足を閉じて隠すけど、ふたりの手で開かれてしまう。 やっぱりじっと見つめられて全身がどんどん熱くなってくる。 恥ずかしいけど、…早く欲しい。 「藍流…流風、触って…」 ふたりの手を取って導くけど、やわやわと肌に触れるばかりで俺が欲しい刺激をくれない。 すごくもどかしくて、自分で藍流と流風の指を奥の蕾に滑り込ませるとゾクゾクゾクッと快感が突き抜けて息が乱れる。 少しずつ奥に進ませていくと、ふたりは突然いつもの場所に触れて俺を追い詰め始めた。 身体中にキスが落ちてきて、赤く痕を咲かせていく。 「あ…ああっ!!」 前を触られていなくても、うしろの刺激だけでも達してしまう。 ナカでイッた感覚にふわふわチカチカする。 まだ服を着たままの藍流と流風になんだか寂しくなる。 「…指、ぬいて」 「? うん」 ぬるっと指が抜かれて唇から息が漏れる。 身体を起こしてふたりの服に手をかける。 「奏が脱がせてくれるの?」 「うん…」 「どきどきするね…」 「ん…」 流風と藍流の声も熱っぽい。 もそもそと服を脱がせて、綺麗な身体が露わになっていくのに俺もどきどきする。 素肌にぴったり抱きつくと優しい温もりとふたりのにおいを感じて身体が疼く。 キスが欲しいな、と思ったら藍流と流風のほうからキスをくれた。 交互に触れる唇に思考が蕩けていく。 「俺の事、好き?」 藍流が聞くので、好き、と答える。 「俺の事は好き?」 流風も聞くので同じように、好き、と答える。 俺の答えにふたりは満足そうだ。 「挿れていい?」 キスと一緒に藍流に聞かれてどくんと心臓が跳ねる。 頷くと身体をそっとベッドに倒されて、藍流が挿入ってくる。 流風がいっぱいキスをくれて、ふわふわする俺を藍流はすぐに追い詰めていく。 「あ、あっ! だめ、も…イッ…!!」 身体がガクガクして力が抜けた。 流風が俺を抱き締めて、藍流は動きを止めない。 「あっ、まって…だめ、イッた、から…! あっ!」 おかしくなりそうで流風にしがみつく。 また波がやってきた。 「ああ…っ!!」 「っ…」 藍流の昂りがナカでどくどくしてるのを感じる。 いつもより熱い瞳と上気した頬…ゾクゾクする。 流風の昂りも熱くて、俺をすぐ限界へと昇らせていく。 身体中にふたりを感じる。 イッてもイッても追い詰められて、どんどん気持ちよさが増していく。 快感が押し寄せて押し寄せて俺を呑み込んで狂わせて…。 「や、っん…! ぁ、あっ! あっ!」 頭の奥がぼんやりしてくる。 藍流が喘ぎを呑み込むキスをして、流風が俺の奥を突く。 三人で絡み合って乱れてひとつになって求め合う。 俺が達して藍流に体重を預けるのと同時に流風も果てた。 ふたりの熱も俺の熱も収まらなくて、ただひたすらに抱き合う。 こんなに愛されて魂にまでふたりを刻まれたら、どうやったって離れられるわけない。 肌の火照りが全然引かないくらい求め合ってシーツをまた汚してしまった。 ◇◆◇◆◇ 「あ」 ふたりに自宅まで送ってもらって、部屋で荷物を置いて思い出す。 藍流と流風の誕生日プレゼントの事、すっかり忘れてた。 「また今度でいいか…」 今日はもう考え事はしない。 優しい温もりを想ってゆっくり眠ろう。 ひとりで寝るのがこんなに寂しいなんて思わなかったけど、いつかは三人で寝るのが日常になるのを信じて、ベッドに入る前に藍流と流風にメッセージを送る。 『おやすみ』 大好き。

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