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ふたり占め#8 ⑤
「…ここ、いつ見てもすごくいやらしい」
「うん…俺と流風の指、呑み込んでる」
流風と藍流がじっと見てる。
足を閉じたくてもふたりに足を押さえられてて閉じられない。
「見ないで…恥ずかしい」
「なんで?」
「可愛いよ?」
「……」
藍流も流風もそう言うけど、やっぱり恥ずかしいし。
そんな事を思っていたら指が抜かれた。
「あっ…」
「大丈夫」
藍流が足の間に身体を入れる。
「奏はすぐ、“恥ずかしい”なんてわからなくなるでしょ?」
「あっ!!」
ぐっと奥まで藍流でいっぱいになってそれだけで達してしまった。
「出さないでイッたの? 可愛い」
流風が昂りをなぞるのでその手を掴む。
「や…あ、だめ…だめ…あっ! あ、あ!」
藍流の言う通り恥ずかしいなんてわからなくなってしまう。
流風が胸の突起の付け根から先端に向かって強弱をつけて歯を立てるので腰がガクガクする。
いじわるに身体中に流風の手が這って、藍流は奥を突く。
「まって…またイッちゃ…あ、あっ!!」
イッたばかりでもすぐイッて、またすぐ昇り詰める。
藍流の律動だけじゃなく、流風も俺の敏感なところにばかり触れて、ふたりで俺を追い詰め続ける。
喘ぎながらキスをねだると藍流と流風が順番にキスをくれた。
流風にキスをもらっている時に藍流が悪戯に俺の昂りをなぞって、流風の舌に軽く歯を立ててしまう。
「ん、や…あいる、だめ…」
「奏、今のすごく可愛い」
「んぅ、ん! …ん、んぁっ!」
流風のキスが深くなり、藍流の動きが速まる。
藍流と流風の手を握り、律動とキスに溺れて快楽に酔いながらまた達すると、藍流がナカで果てるのを感じた。
キスが解かれ、ぽーっとふたりを見ると今度は藍流がキスをくれた。
「奏、大丈夫?」
「ん…」
「挿れていい?」
「…ちょうだい」
流風が確認するけど、早く欲しい俺は流風の腰に自分の腰を擦り寄せる。
やっぱり恥ずかしいなんてわからなくなっている。
流風も藍流も、俺が蕩けてしまうような熱い視線で俺を見つめる。
「可愛い奏」
「この世で一番可愛い」
骨までとろとろになる藍流と流風の甘い囁き。
俺を呑み込む快感の波。
「あっ! あ、あ、だめ…イく…イッ…っあ!!」
藍流に胸の突起を甘噛みされながら反対を爪で弾かれ、同時に流風に奥を突かれてまたイッてしまう。
身体も呼吸も頭の中も熱い。
「あいる、るか…もっとちょうだい…」
「ほんとに可愛い」
「こんなに可愛い子、この世に他にいない…」
流風の藍流の甘い言葉と蕩けるキスが落ちてきて、俺の形をどんどんわからなくさせる。
ぐっと流風が奥を突いて俺が仰け反ると、弓なりになった俺の身体を喉仏から藍流が舌でなぞっていく。
時折甘噛みされ、その刺激に俺はどんどん昂る。
「あ、ぅっ! ひぁっ!!」
またイッちゃった…。
頭がぼんやりする。
汗ではりついた前髪をよけて藍流と流風が順番に額にキスをくれる。
「もう少し頑張れる?」
「ん…だいじょぶ」
流風の問いに頷く。
「いい子」
「ん…」
藍流がちゅっともう一度キスをくれる。
褒められた。
「奏はほんとに素直で可愛い」
「だからいっぱい可愛がりたくなる」
「あっ!!」
流風が急に動くから、俺は藍流にしがみつく。
藍流は俺を抱き留めて昂りを扱く。
「や、そこだめ…や…あ、ぅっ!!」
ぴしゃっと噴き出したものが藍流の手を濡らす。
「ほんと、可愛い…」
藍流はなんの躊躇いもなくその濡れた手を舐める。
顔が熱くなって視線を逸らしたいのに逸らせない。
「やだ…」
「奏の可愛い味だよ」
「…そんなのかわいくな…あぅっ!」
藍流に気を取られていたら流風が動きを速めた。
流風の瞳に余裕がない。
「藍流、俺も」
「うん」
藍流の手を流風も舐める。
やめてほしいのに目が離せない。
濡れた手をふたりが舐めていくのを見つめてしまう。
それをふたりは妖しい色を帯びた瞳で見つめ返してくる。
「「奏」」
そんな色っぽい声で呼ばないで。
…壊れてしまう。
◇◆◇◆◇
ぼんやりと火照る身体を持て余す俺を藍流と流風が抱き締める。
何度もキスをくれるけど、俺はされるがまま。
「奏、大丈夫?」
「やっぱり無理させた?」
流風と藍流が心配そうに俺の顔を覗き込む。
さっきの妖しさの影はもう見えない、んだけど…。
「ううん、平気。…ただ、ちょっと…」
「「ちょっと?」」
「……」
藍流と流風が色っぽ過ぎて…。
そう素直に言ってもいいだろうか。
ふたりは俺の言葉の続きを待っている。
心配かけるのもよくないし…。
「藍流と流風はなんでそんなに色っぽいの?」
「「色っぽい?」」
ふたりは顔を見合わせる。
「なんかすごい色気がぶわぁって…」
「そんな事言われたの初めて。流風はある?」
「ない」
ふたりはびっくりしてる。
こういうのって自覚ないのかな。
「それで奏はどうなっちゃう? 気持ち悪い?」
藍流が心配そうに聞く。
「…ううん。壊れそうになる」
「壊れそう?」
流風が聞き返すけど、どう説明したらいいかわからない。
ただ、本当に“壊れそう”。
「……」
顔が熱い。
そのまま口をつぐんだ俺をふたりはじっと見ている。
「…奏のほうが色っぽい」
「うん。すごく色っぽい」
藍流と流風がぽつりと言う。
「え?」
俺のほうこそそんな言葉無縁。
でもぽーっとした瞳でふたりは俺を見つめている。
ぎゅうっと両側から抱き締められて、何度も唇が触れてくすぐったい。
「奏は魅力的過ぎて困る」
「ほんとに目が離せない」
藍流と流風がぺたぺた俺の顔に触れて、また抱き締める。
肌が触れ合って落ち着く。
もうこの温もりがない事なんて考えられない。
「…もう一回キスしてくれる?」
俺がねだると、ふたりはいつでも心底嬉しそうにする。
「「何度でも」」
そう言って本当にいつまでもキスをくれる。
幸せがいっぱいのホワイトデー。
でもこれでもまだ幸せの始まりだからすごい。
この先にはもっともっと大きな幸せが待っている…絶対に。
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