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ふたり占め#9 ④
◇◆◇◆◇
ぼんやりしながら藍流と流風に抱き締められる。
肌がくっつくのが気持ちいい。
「ごめん、無理させた」
藍流が謝るけど、俺は嬉しかった。
あのあと流風もまた挿入ってきて、俺はいっぱいになってもう無理かもって思ったけど、やっぱり全然足りなかった。
どうしてこんなに貪欲なんだろう。
「ううん…まだ足りないから、平気…」
俺の答えに藍流と流風が『えっ!?』と声を上げる。
「足りないの? 藍流すごかったよ?」
「ほんとに足りない? 流風もそのあとしたよ?」
「うん…全然足りない…」
ぽーっとしながら答えると、ふたりが無言になった。
なんだろうと見上げると、ぎゅっと抱き締められた。
藍流と流風の二の腕に俺の付けたキスマークが残っていてどきどきする。
「可愛い! すごく可愛い!」
「奏はほんとに可愛い!」
流風も藍流も容赦なくぎゅうぎゅう抱き締める。
苦しいけど幸せ。
自分の中にこんな底なし沼みたいな部分があるなんて知らなかった。
藍流と流風をどこまでも呑み込みたい。
ふたりがそれを許してくれるってわかってるから余計そういう事を考えちゃう。
ふたりがあんまり俺を溶かすから、溶けた俺で足が取られて動けなくなるようにしたい。
そういう事考えちゃうの、すごく…。
「…ずるいな、俺」
ぽつりと呟くと流風と藍流が左右の頬にキスをくれる。
「奏がずるいの?」
「どんな風に?」
そうやってまた俺を暴こうとする。
もう、これ以上ないくらい俺を知ってるくせに。
「…教えてあげない」
耳元に顔を寄せて囁けば、ふたりは微笑む。
心地好くて空気が甘くて。
こんな幸せがある事を、俺は知らなかった。
翌日。
誕生日当日には藍流と流風からだけじゃなく、なぜか連絡先を交換したクラスメイト全員から『誕生日おめでとう』のメッセージが届いてびっくりした。
返信大変だった…。
そんな幸せな誕生日。
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