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ふたり占め#10 ②
………
……
…
「……?」
あれ?
なんかしっかりした感じ。
おかしいな。
瞼を上げると藍流と流風が膝枕をしてくれている。
「…??」
あれ、俺が藍流と流風を膝枕してなかったっけ?
「あ、起きた」
「寝ぼけてて可愛い」
「? あれ??」
流風と藍流が俺の顔を覗き込んで頬をつつく。
「俺も流風も寝ちゃって、起きたら奏が寝てたから交代したんだ」
「奏、すごい熟睡してたから動かしても全然起きなかったよ」
「そうなんだ…ごめん」
張り切って膝枕するって言ったのに、結局ふたりに膝枕してもらっちゃった…。
「なんで謝るの?」
「だって…」
「すごく可愛い寝顔が見られて俺も藍流も幸せだよ?」
相変わらず俺に甘いふたり。
よしよしって慰めるみたいに頭を撫でられて気持ちが上がってくる。
身体を起こしてちょっと伸びをする。
「俺も藍流と流風の可愛い寝顔が見られて幸せだった」
「「!!」」
もっと見たいな。
また今度リベンジしよう。
「寝顔はだめ!」
「なんで?」
「かっこ悪いから!」
「かっこいいよ」
「「!!」」
藍流と流風が赤くなってぽーっとした顔になる。
「どうしたの?」
「だって奏にかっこいいって言ってもらった…」
「褒められた…」
「流風も藍流も、かっこいいなんて言われ慣れてるでしょ」
この見た目で今更なにを言ってるんだか。
俺が小さく溜め息を吐くと。
「奏に言われるのは違うの!」
「奏と他の多数を一緒にしちゃだめ!」
藍流と流風に詰め寄られた。
すごく真剣な顔に思わず身体を引く。
「そ、そう…ごめん」
違うのか、そうか。
「というわけで」
「?」
「奏、デザートもらっていい?」
「デザート?」
『というわけで』も『デザート』もわからずにいると流風の唇が甘く触れた。
「あ…」
デザートってそういう事…?
唇を何度も甘噛みされてぞくっとする。
藍流が頬にキスをしながらシャツの裾から手を入れて背筋をなぞる。
腰から脇腹、臍の横へと藍流にキスをされ、それがくすぐったくて身体を捩る。
「服、汚さないようにしないとね」
「ん…」
藍流と流風がするりと俺の着ているものを脱がせるので、俺もふたりの身に着けるものに手を伸ばす。
肌が露わになると思わずキスをしたくなる肌に、吸い寄せられるように唇を近付ける。
「わ…」
藍流と流風の肌に夢中でキスをしていたら、ぽすんとベッドに寝かされた。
太腿の内側にふたりのキスがたくさん触れて、奥の蕾に指が滑り込む。
いつまで経ってもほぐされるのはちょっと恥ずかしいけど、ふたりに触れられるのは嬉しい。
「あ、あ!」
いつもの場所に指が触れてびくんと身体が跳ねる。
両の膝に唇が触れてそれも気持ちいい。
蕾をほぐしながらナカを押されて全身がガクガクする。
「あっ、ぅ…っ…ぁ…! あ!」
「奏、可愛い」
「もっと可愛いの見たい」
「ああっ! あっ、だめ…あ…!」
流風も藍流もバラバラに指を動かすから刺激が不規則でどんどん息が上がっていく。
「あいる、るか、キスして…」
甘いキスが欲しくてねだるとすぐに希望が叶えられる。
藍流がキスをくれて、流風がキスをくれる。
ふたりのキス、甘くて大好き。
ちゅっと舌先を吸われると背中にぞくっと走るものがある。
キスだけでも身体の芯が疼くのに、ナカを弄られているから奥がふたりを欲しがってる。
「んぁ…あ、あ、も…ほしい…」
「そうだね」
藍流が足の間に身体を入れる。
ゆっくり滑り込んでくる熱に流風の手をぎゅっと握ると、流風がキスをくれた。
舌を絡め合い、ねっとりと舌を舐め合う。
キスを解いて流風が胸の突起を甘噛みする。
じんとする感覚が腰に伝わっていく。
でもキスが欲しい。
「んっ…あ! あ…るか、…そこじゃなくて、キス…あっ!」
「今日はキスが好き?」
「ん…」
こくんと頷くと流風がもう一度キスをくれて、藍流もキスをくれる。
弱いところを擦って奥を求める動きにシーツを掴む。
「…んんっ!!」
イッた俺の昂りをふたりが指でなぞる。
「やぁ…だめ…」
「奏、最近出さないでイく事多いね」
そんなの自分じゃ覚えてない。
たぶんそういう事はふたりのほうが覚えてるんだろうと思う。
「…んっ! あぅ、っあ! あ、キスして…!」
「うん」
藍流がすぐに動き始めて俺は更に気持ちよくなっていく。
流風にまたキスをねだるとキスをくれて俺は溶けていく。
濡れた音とベッドの軋む音が俺を昂らせる。
藍流が動きを速めて、俺は目の前がチカチカする。
気持ちよさに気持ちよさが重なっていって爆発しそう。
もう一度流風にキスを求めて、唇が塞がれた。
「んぅ、ん、んっ!!」
「っ…!」
俺が限界に身体を震わせて藍流も達した。
どくどくするのをナカで感じてる時ってすごくどきどきする。
ゆっくり藍流が出ていって寂しい。
でもすぐに流風が挿入ってきて、また俺は気持ちよくなる。
「…キス…」
今度は藍流にキスを求める。
「あんまりキスすると唇ひりひりしちゃうよ?」
「…いい。キスして」
唇が腫れ上がってもいい。
キスがいっぱい欲しい。
藍流もキスをくれて吐息が交わる。
流風が弱いところを擦るように動く度に俺は呼吸が熱くなっていく。
それを全て呑み込むようなキスにくらくらしてくる。
「んあっ! ん、んぅっ!」
「奏、俺もキスしたい」
流風の言葉に藍流がキスを解く。
流風の唇が重なり、藍流は肩や首や耳にキスをくれる。
ぐりぐりと奥に擦り付けるように動かれて、ガクガクする腰を引きそうになる。
流風がそれを捕まえて更に奥を刺激する。
「んっ! あっ、だめ…それだめ…っ!!」
そのまま仰け反って達した俺の、びくびくと震える身体中にふたりのキスが降ってくる。
小さな刺激もすべて快感に繋がっていく。
指がするりと肌の上を滑っていく感覚にさえゾクゾクする。
流風の動きに乱れる俺に藍流がキスを繰り返してくれて、俺は喘ぎも吐息も思考も全て呑み込まれていく。
「ぅん…ん、んっ…んん…!!」
「奏…っ!」
俺は呆気なくまた達して、流風も果てた。
やっぱりどきどきしながら流風がイッているのを感じる。
「あいる、るか…すき」
「好きだよ、奏」
「大好き」
流風と藍流の甘い囁き。
熱くて汗ばんだ肌で抱き締め合うのも気持ちいい。
「ふふ…」
「なに? 奏」
「どうしたの?」
俺が笑うと藍流と流風が不思議そうに聞く。
「いっぱいキスしちゃった…」
藍流に言われた通り、ちょっと唇がひりひりするかも。
でも幸せ。
藍流と流風の手を取って手のひらや手の甲にキスをする。
「…奏が可愛過ぎる…」
「ほんとになんでこんなに可愛いんだろう…」
流風と藍流が左右の頬にキスをたくさんくれる。
頬だけじゃなく、額や耳、顎や鼻の先、瞼にまでキスをくれてくすぐったい。
俺もふたりにキスを返す。
「特別な時だもんね」
「特別な事できた?」
藍流と流風が聞くので。
「うん。それはもうとっくにできてるって言ったじゃん」
「「?」」
忘れちゃったのかな。
「藍流と流風に会うのが特別な事って言ったでしょ?」
「「!!」」
キスもたくさんしてもらえたし、色々満足。
そうしたら今度は違う欲求が生まれてくる。
いっぱい抱き締めてもらいたい。
「ねえ、……?」
ふたりとも真っ赤になってる。
どうしたんだろう。
「……奏はほんとはわざとやってる? このタイミングでそれ言うのはずるいよ」
「なにが?」
「わかった。俺達をおかしくさせるつもりでしょ」
「なんで?」
藍流も流風も、なにを言ってるのかわからない。
わからないのでうつ伏せに体勢を変えてふたりをじっと見る。
じーっと見る。
ふたりもじっと俺を見る。
そしてぎゅっと抱き締められた。
「ずるくていい! 可愛い!」
「おかしくさせて! 奏にならおかしくされたい!」
「??」
藍流も流風もよくわかんない。
でもふたりともなんだかすごく幸せそうに笑ってるから俺も自然と笑顔になる。
『抱き締めて』って言おうと思ったけど抱き締めてもらえたから言わなくていいか。
特別な時には特別な事を、特別な人達と…。
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