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第23話

「無事…だったのか…?」  圭吾と2人でユージのところへ向かった蒼真は、赤い目をしたユージにーへへっーと微笑んだ。 「今朝ニュース見て、ネットで記事見てたらMBLの地下研究所が爆発して死亡者リストにお前の名前あったから…俺…」  相当泣いたのか、ユージの目や鼻が真っ赤で、最初蒼真を見た瞬間はまるで幽霊を見たような顔をしていたのを圭吾はちゃんと見ていた。  ユージはしんじらんねえ…と、いいながら蒼真をぺたぺたと触ってなんとか実感を沸かそうとする。 「くすぐったいよユージ、中に入れてくれないの?それとこれ、お土産〜。イッペイと食べな」  圭吾が署の女子職員から聞いていた店のプリンである。 「え?ああ…サンキュ、まあ、入って…」  まだ気持ちの切り替えができないのか、首を傾げてリビングまで通すと、ユージは例のコーヒーを淹れていたのか部屋中にいい香りが漂っていた。 「何かしてねーと落ち着かなくてな…」  と、プリンを冷蔵庫に入れながら圭吾に礼をいい、コーヒーの作業を再開する。  ちょっとまっててなと慌ただしくカップなどの準備をするユージのカウンターの前に座って、蒼真はこれからの話を聞かせる。 「そうか…今度は本当に行っちまうのか…」  フラッと日本へ帰ってきては気まぐれに顔を出していた蒼真たちだったが、もうそんなこともなくなるんだな、とユージはカップにコーヒーを注ぎながら考える。 「連絡先はちゃんと知らせるから。遊びに来いな」 「当たり前だ、バカヤロ」  どうぞ、とまず圭吾の前にコーヒーを置き、そして蒼真にも渡した。 「どん底気分で淹れたものだから、味の保証はないけど」  たははと笑って、自分の分もカップへ入れた。 「で、高梨さんも一緒だろ?仕事どうすんの?」 「俺は振られたんだよ」  コーヒーを一口口にしてー美味いよーと少しカップを上げる。 「え?」 「そう、おれ振ったの」  振ったの振られたのって、これ自体が惚気じゃねえかよ…とユージもコーヒーを口にし、やっぱ少し苦いな…と眉を寄せた。 「とにかく、生きててよかったよ。ほんと安心したぜ」  意味なく蒼真と握手をして、心底安堵した笑顔をみせた。 「空港でのお前の顔は尋常じゃなかったから、あの時点でもう2度と会えない気がしちまってさ…怖かったよ」  言いながら圭吾を見る。 「高梨さんに、絶対連れ戻してほしいって頼んだけど…本当にありがとう。やっぱあんたじゃなくちゃだめだったろ?」  と、こっちはこっちで複雑な笑みを見せた。 「色々あったけどな…ともかく、今こうして美味いコーヒーが蒼真と飲めてよかったと思ってる」  蒼真の髪を撫でて愛おしそうな顔をする。 『人ん家でこんな顔して自分を眺めるやつを、なんで手放すんだろう』とユージは疑問でしかない。 「あ、そうだ。翔がTOKYO(こ こ)に残るから、よろしくな」 「1人でか?」  こっちの相棒同士まで離れる事にも驚愕だ。 「いいや、配偶者付き」  言って、圭吾と共に含み笑う。 「え…まさか高梨さん…」  ユージのとんだ勘違いに、蒼真が吹き出した。 「違う違う、ジョイスだよ。圭吾の相棒の」  ユージはしばし考えて、ああ、と手を打つ。 「あの茶色い髪の背だけはバカ高い、ノーてんきそうなあいつ?」  随分な言われようだな…と今度は圭吾が苦笑い。 「誰もが落とそうとして落ちなかった翔が、あいつに落ちたっての?」 「七不思議だろ?」  蒼真とユージで腹を抱えて笑い転ける。 「そう言うほどジョイスも変なやつだとも思わないが…」  さすがに相棒がここまで言われるとあまりいい気はしない。ジョイスにしたって、そうそう悪いルックスはしていないのだ。身長も高く、顔だって署内では女子職員の話に上るほどではあるし、何より腕っぷしは強い。  …が、そんな事は問題じゃないことに圭吾は気づいた。この2人は、誰が翔を落としても、そいつの悪口を言うに違いなかったのだ。  そう思い当たって、圭吾は反論するのをやめた。 「ところで、ハラダグミの様子はどうなんだ?」  圭吾の胸ポケットから当然のようにタバコを取って、一本火をつけながら、相馬は心配そうだ。 「加賀屋さんの腹心だった藤村さんて人が()られたらしいんだ。んで、その藤村さんが面倒をみてた子もボコボコにされて、いま面会謝絶の重体だみたいでな」  圭吾も軽くではあるが、ユージから聞いていたのであらかたは把握していた。 「殺人なら警察が入っているはずだか…」 「MBL絡みだからな…捜査のカットオフがはいったんだろ。まあでも、実行犯はまた違う組だったらしいから、今、ハラダグミでその組を探し回ってるよ。俺にも話きてるし」  コーヒーが終わったのを見てとって、ユージは何か飲む?と聞いてみるが、2人はいまはいいや、と断った。 「まあ、ちょっとした抗争にはなるかもな」  それならあっちで、とリビングへ移動して話は続く。キッチンだとユージが座れない。 「殺した相手が悪すぎるんだよ。加賀屋さんの腹心だもんな。加賀屋さん怒ると怖いからさ」  圭吾も、薬の関係で暴力団の組織図はそれなりに頭に入っていて、ハラダグミの加賀屋は、警察からしたら扱いにくい人物で有名であった。そう言う人物は組にとってはありがたく有能な人物なのである。 「なんか…申し訳ないことをしたな…」  自分が翔を連れてきてほしいと言わなければ、大事な部下の人が死なずに済んだのか…と思ってしまう。 「代わりのドライバーなんかを信じちまった事がそもそも間違いなんだ。そのおかげで蒼真(お前)だって死にかけたんだから。気にする事はないんだよ。これはハラダグミの威信の問題。蒼真には関係ない」  そう言われては頷くしかないが、どこか納得はいかない。 「なあ、そんな事よりこれ、どうすんだ?」  ソファの後ろから出してきたバッグを、ユージはテーブルにドンっと置いた。  これは圭吾にも見覚えがあった。蒼真が空港でユージに託したバッグである。 「ばかっユージしまえ!」 「え?」  ユージの一瞬の戸惑いの間に、圭吾はそのバッグを取り上げてしまった。 「多分察するに…」 バッグを開けて、中身を取り出す。ユージがーしまったっ…そうだったーと天を仰いでももう遅い。 「見事な代物だな…さすが製造元だ。でも、これは没収」  圭吾はピュアがぎっしり詰まったバッグを抱えにんまりとしている。 「ユージのばかやろ…」  蒼真のじっとりとした視線に、ゆーじは 「悪ぃ…」  と、手を合わせるしかなかった。 「本当なら現行犯逮捕だぞ。しかし、これでジョイスと2人首がつながりそうだからな。見逃してやる」  蒼真とユージはテーブルに手をついて頭を下げた。  それから暫くして、帰ろうとする段になった時、ユージが圭吾にちょっとだけ蒼真お借りしますぅ、と寝室へ引っ張り込んだ。  場所が場所だけに圭吾も眉がよったが、まあこんな時に何もないだろうとソファで待つ事にした。 「なに?」 「さっきのピュアさ、ハラダさんのだろ?」 「うん」 「これでいいか?」  ユージの手にはピュアが一袋。1kgだ。 「ねー、なんだよこれー」 「へへっ悪い。あんなにあったから、ちょっと貰おうかなーって。何もあんなに渡すわけじゃなかったんだろ?」  いや、全部だけど。でもまあ今回は少しでも助かるから、文句は言わない事にしておく。 「それ全部渡せよ、全然足らないんだからな」  疑わしそうにユージを睨んで確認をとった。 「判ってるよ」  さっきの話を聞いて、色々ありそうなハラダのところには行くのをやめておいたのだ。 「あ、そうだ。ハラダさんにさ、翔がめでたくまとまったからって伝えておいて」 「なに?あのオヤジも翔を狙ってたのか?」 「そう言うこと。ハラダさんにコネがあれば、TOKYO(こ こ)でも取り敢えず安心だし」 「配偶者が刑事でもか?」  と言うユージの言葉に 「両方で心強いな」  と笑っていって、圭吾の元へ戻って行った。  日もないことも手伝って、蒼真が出発するまで結構慌ただしい時間が続いていた。  圭吾は取り敢えず端末での連絡を署に入れている。 『連絡がなくてなにがあったのか心配してたんだぞ。容疑者(あの2人)はどうなってるんだ』  やはりだが、怒られた。1日連絡入れなかっただけなんだけどな…と思うがそう言うことでもない。  取り敢えず、容疑者であった2人「岩沙蒼真」と「岩沙 翔」はMBLからの脱走者で、自分たちの落ち度もあったが先日連れ去られ、爆破事故に巻き込まれて死亡したことを報告した。  そして2人はやはりバイオレットであったことが確定していて、組織ではなく2人のチームで行動をしていたこと、そして証拠物として、彼らが置いていった荷物のひとつに相当量のピュアがあったことも伝えた。  部長は彼らが亡くなったことを非常に残念がっていたが、これでバイオレットの捜査も打ち切りだな、となんだか少し寂しそうではあった。  ここ数年はバイオレットの捜査に打ち込んできていた部長だ。ちょっと生きがいを無くしてしまうかもな…と圭吾も思った。 「ともあれ、よくやった高梨。今日はカーランクルはいないのか」 「本日は別行動です」 「そうか、いずれにせよ本当によくやった。よく調査もしてあるし見事だぞ。休暇中ではあるが一度署まで来い。カーランクルと一緒にな」  と言って部長は回線を切った。 「何か貰えるのかな。バイオレットの捜査に決着をつけた本人たちだもんな」  画面に映らないように隣の寝室に行っていた蒼真が、のそのそと這い出てきて椅子に座る圭吾の足に懐く。 「貰えるのも結構だが、もし許されるなら頼み事をしようと思っている」  蒼真の髪を撫でながらの言葉に、蒼真は顔を見た。 「なにが欲しいんだ?」 「違う、物じゃない。申請をしようと思ってる」 「なんの?」 「オーストラリア区の所轄への異動申請だ」  ピンっと頭を上げて呆気にとられている蒼真の頬を包んで軽く引き上げると、蒼真は膝立ちになる。 「ほんと?」 「ああ、多分通ると思う」 「圭吾!」   声をあげて圭吾に飛びついた。 「おっ、おいあぶなっ」  不意に飛びつかれて、背もたれのないスツール様の椅子から蒼真を抱えて後ろに落ちるのは流石に怖い。  だが蒼真は意にも介さず 「圭吾…」  と落ちた先で、より強く圭吾に抱きついた。  本当は離れたくなかったんだ…などと素直なことを蒼真が言うわけがないが、今こうして飛びついてきた蒼真の行動は、その気持ちを表すのに充分だった。  床に座り込んで蒼真を抱きしめていた圭吾は、蒼真の頭を撫でて頷く。 「ちょっと時間はかかるかもしれないけどな…」  という圭吾の言葉に腕の中でーかまわないさーと小さく首を振って、圭吾により強く抱きついていった。 「じゃあな圭吾。今夜7時にシンジュクの『サウール』な。遅れんなよ、主賓」  圭吾の背中をポンポンと叩いてジョイスが走り去ってゆく。  あれから1ヶ月。思ったより早く圭吾のオーストラリア区への異動が決まり、今日はその送別会をジョイスと翔がやってくれるという。  出立までは1週間。その間引き継ぎや異動先での仕事の調整等で忙しい日々を送っていた。  実はあの一件で、圭吾とジョイスに昇進の打診があったのだ。  全世界を巻き込んでのバイオレットの捜査を終わらせた功績は大きい。  元々キャリアで入ったので警部補でいたのだが、今回特例で警部への昇進が認められている。  しかし2人はそれを辞退した。  バイオレットの捜査終了は、決して自分たちの功績ではないし、あの2人の胸の痛くなるような今までの人生を思うと、それを喜んで受け入れる事はできなかった。  順当に仕事をして、ちゃんとした功績をあげてから昇進をしようと2人で話し合い、辞退を申し入れた。  部長は相変わらず驚かす奴らだな、と不思議がってはいたが、こればかりは誰にも判らない話だ。 「わかった」  去ってゆくジョイスに軽く手を振って、圭吾はロッカーを閉める。  所轄の送別会も、また別でやってくれると言うので、酒も控えなきゃだな…などと考えながら、今日の捜査報告書に向き合った。 『麻薬常習者夫夫(ふうふ)共に 重度Aランク…』  そこまで書いて圭吾は手をとめた。  この2人の逮捕に赴いた時、2人がしていた指輪が目についたことを思い出したのだ。  指輪は、形だけでもと買ったものが部屋にある。 『オーストラリア(向 こ う)に行く時に忘れない様にしないとな』  と思いに耽ったが、ふと我に帰り時間を気にしながら慌てて調書に戻った。  入り口まで来てみたものの少し時間が早いことに気づいた。  圭吾はタバコでも買ってこようと反転したときに後になったドアが開き、ジョイスが圭吾を呼び止める。 「どこ行くんだ?」 「早く来すぎたみたいだから、たばこでもと思って」 「なにをおっしゃいます、タバコなんぞは私めが買って参ります。ささ、主賓は中へ」  気持ち悪い喋り方と動作でドアを開けて恭しく頭を下げるジョイスに 「やめてくれ…」  とお願いをして頭を上げさせた。  まあ冗談はいいとしてー とジョイスは圭吾を中へと促し、左方向を指差し、 「あの1番奥の席で待っててくれ。すぐに翔が来るからさ」 「最奥でいいんだな?」 「そそ、待っててな」 「お前はどこに行くんだ?」  そういえばジョイスは別段圭吾を迎えに店の前に来たわけでもあるまい。 「ちょっと野暮用。タバコも買ってくるから。まっててな」  と店を出ていってしまう。  相変わらず慌ただしいやつだな、と店の中へ歩を進めた。  店の中は結構広く、自分は今入り口を入って左に曲がったが、入り口正面へも客席が広がっていて、圭吾はこの店に来たのは初めてだったが、いい作りだなと周りを見ながら歩いていた。  通路の奥に向かって左側だけボックス席が並び、右側は一箇所料理を出すのであろうカウンターがあったが、そのほかは白い壁で飛び飛びに絵が飾られている。  その通路を歩いてちょうどそのカウンターの前あたりまで来た時に、不意にボックス席から 「高梨圭吾さん…ですよね」  と声をかけられた。  不意に呼ばれて、左側ボックスへと目を落とす。 「はい…ええと…」  妙な帽子を被っている上に、圭吾の方が高い位置にいるので顔が確認できない。 「あの…」  不審に思い声をかけるが 「わかりませんか…」 と言われるだけ。そう言われてもな…とは思うが、もしかしたら誰か署の奴が聞きつけてからかているだけかもしれない、と思い、 「誰だって?その帽子取っ…」  誰かのイタズラとしか思えずに、圭吾はその帽子を勢いよく剥いでみたが、そこに現れた人物をみて息が止まるかと思うほど驚いた。いや、驚くなんてものでは説明がつかない、嫌悪感と嘔吐感が一気に押し寄せて来るような…いやな… 「ハ…ワード…リ…フ」 「久しぶりだね、元気そうで何よりだ」  ニヤニヤと笑って、ハワードは座りたまえと目の前の椅子を示した。そう言われて座るわけもなく… 「なんで…」  体が硬直して動けない圭吾の声は、掠れて音が出ていたかどうか。  死んだ…はずだ。あの奈落に落ちていくのをこの目で見ていたのだから、まちがいはない… 「君は私の研究を理解しきれていないようだね」  ハワードはクッと息を詰まらせるような笑い方をする。圭吾は一瞬眉を寄せたが 「まさか…」 「わかったかい?そう、あの時死んだのは私のクローン体だ」  顔が引き攣る。どうしようもない感情に体が縛られているようだ。 「今日ここには、蒼真と翔も来るのかい?」 「来たってあんたには関係ないだろう。もうあんな研究をするところも無くなったんだからな」 「そうだね…無くなってしまった…。私の研究は全てダメになってしまったんだ」 「今更何の用があると言うんだ…あの2人に」 「別に…顔が見たいだけだ。私は会っていないからねあの時」  ハワードのいつもの様子というのを知っていたわけではないから、圭吾はハワードの様子が違うことに気づけないでいた。 「蒼真がオーストラリアにいった事は知っている。今日来るのは翔だけなんだろう? 「拳を握りしめた圭吾の『なんで知ってる…』という顔に、ハワードは人のいい笑みを浮かべた。 「私の情報網を甘く見てはいかんよ」  たとえMBLがなくなっても、元所長ということになれば情報屋の数人は抱えているだろう。  しかし妙なのは、蒼真がオーストラリアへ行ったことまで知っていて、なぜ追わないのか。 「目的はなんだ…俺の前に現れた目的だ」  言った後、ここでは人目がありすぎる、と続けた圭吾にハワードはーここでいいんだよーといってまた笑う。 「蒼真を追うのは簡単なことだよ。でもな、蒼真…いや15号は私から何もかも奪った憎いやつだ。私もやつから奪えるもの全てを奪わないと快く死ねないんだ…」  座った位置から圭吾を見上げてきた目は、正気とはとても思えなかった。  圭吾は背中に冷たいものが走った感覚に咄嗟に身構える。 ーまさか…翔を道連れにするつもりか…ー  そんな確信めいた考えが閃いた瞬間、翔が店に入って来てしまった。  翔は圭吾が話しているのは、知り合いがいたのかな…くらいにしか思わず、安心し切って圭吾に近寄ってくる。 「圭吾、遅れちゃって…」 「翔っ来るな!逃げろ!ハワードだ。生きてたんだ!」 「え?」  ハワードという名前に反射的に逃げる体制をとった翔だったが、少しだけ戸惑った意識で圭吾の傍にいる男を見てみた。  確かにハワードであったが、その手に握られている物の方が驚異だ。 「圭吾っ危ないっ!」  咄嗟に走り出して、圭吾を少しでもハワードから離そうと飛びつく。  ハワードの手に握られていた物、それは軍事用の手榴弾であったのだ。 「皆、私と共に死ねっ」  その声と共に大爆発が起こり、店は激しい音と共に弾け飛んだ。  ジョイスは自分の用を済ませ、それと共に圭吾のタバコを買ってテコテコと歩いてくる。そして爆発の音に顔を引き締めた。  見ると圭吾と翔が待っているはずの店が消し飛んでいる。 「圭吾!翔!」  駆け出して店の前まで行ったが、火の勢いが強くてとてもじゃないが近寄れない。 「圭吾……翔…」  ジョイスはその場にへたり込んで、呆然と燃え盛る炎を見つめていた。

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